腕時計の選び方のポイントは? 俳優・須賀健太が目利きに訊く

  • 写真:廣瀬順二
  • 編集&文:佐野慎悟
  • スタイリング:立山 功
  • ヘア&メイク:松田蓉子
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若い時にこそ、本格派の腕時計を選べば長く使えるもの。俳優の須賀健太さんをゲストに迎え、時計ジャーナリストの篠田哲生さんが、初めての時計選びについてコツを伝授!

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左:須賀健太●俳優・声優。1994年、東京都生まれ。99年に子役としてデビューし、2002年にドラマ『人にやさしく』でブレイク。06年の映画『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』で映画初主演を務め 、「日本アカデミー賞」新人俳優賞を歴代最年少で受賞。 右:篠田哲生●時計ジャーナリスト。1975年、千葉県生まれ。「ホットドッグ プレス」編集部を経て独立。時計専門誌を中心に、さまざまな媒体で時計記事を執筆する他、イベントやセミナーの企画や出演も行う。著書に『教養としての腕時計選び』(光文社)など。

5歳の頃から子役として活躍してきた須賀健太さんも、27歳を迎え、すっかり大人の俳優としての風格を漂わせ始めている。30代を目前に控えたいま、彼のような世代が手にするならどんな腕時計がいいのだろうか。時計ジャーナリストの篠田哲生さんに、長年愛せる腕時計と出合うために、意識すべきポイントを訊いた。

須賀 これまでにアクセサリー感覚で腕時計を買ったことはありますが、正直、それ以上踏み込んで時計のことを考えたことはないんです。だから、いざ大人になって本格的な腕時計を選ぼうにも、なにを判断基準にすればいいのかすらわからない状態で(笑)。

篠田 そうですよね。でも、意外に思うかもしれませんが、その「アクセサリー感覚」って、いま腕時計業界でも、とっても重要視されているポイントなんです。というのも、携帯電話の普及によって「時間を知るための道具」という本来の役割から解放された腕時計は、デザイン的にも機能的にも自由度が格段に高まり、より嗜好性の高い趣味のアイテムへと変化しています。だからいまは難しいことを考えずに、靴やアクセサリーと同じ感覚で、「これを身につけたらかっこよさそうだな」という、単純な動機から選んでもいいんです。しかも腕時計は、ていねいに扱えば長く使えて資産にもなるから、若いうちにいいものを買っても後悔はないはずですよ。

須賀 それこそ、父親から時計を受け継いだという友人がいましたが、そうやって世代を超えるほど長く使えて、しかも毎日身につけられるものってなかなかないですよね。そう考えると、見た目のかっこよさも大事だけど、長年付き合える相性のよさも重要ですね。

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「時計のムーブメントって、初めて見ました。こんなに細かいんですね! メカっぽくて、クラフツマンシップが感じられて、男心をくすぐりますね」と、IWC「ポルトギーゼ・クロノグラフ」のムーブメントをしげしげと眺めながら、興奮気味に話す須賀健太さん。

篠田 その通り。初めての一本は特に、その時計の価値観やストーリーに自分が共感できるか否かということも、判断する上で大事にしてもらいたいポイントです。ここでは個性の違う4種類の腕時計を用意したので、それぞれよく見比べながら、好みのタイプを探してみてください。

須賀 うわぁ……。 こうやって、いざ高級腕時計を目の前にすると、まったく詳しくなくても気分がアガりますね!

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時計用ルーペを使ってディテールを確認する須賀さん。グランドセイコーのダイヤルに表現された、雄大な岩手山の山肌を模した“岩手山パターン”や、日本刀を思わせるシャープに磨き込まれた時分針などに感心した様子で、「日本人として、背筋が伸びる思いです」と須賀さん。

篠田 メンズウォッチの歴史とロマンが詰まったカルティエ「サントス ドゥ カルティエ」、男心をくすぐるメカっぽさと、世界最高峰のクラフツマンシップを感じさせるIWC「ポルトギーゼ・クロノグラフ」、ヴィンテージを自分で育てる感覚で愛用したいチューダー「ブラックベイ フィフティ-エイト 925」、世界と肩を並べて闘うメイド・イン・ジャパンのグランドセイコー「SBGJ235」。須賀さんのイメージに合いそうな4本を選んできました。ちなみに僕のリサーチでは、20代の男性が購入する高級腕時計の平均価格帯は70万〜80万円。そう聞くと高いと感じるかもしれませんが、これから数十年愛用するのであれば、日割り計算すると毎日のコーヒー一杯と同等のコストで、高級腕時計を手にすることができる。ちょっと極端ですが、そんな考え方もできると思いますよ。

須賀 こうやって見比べてみると、いまの自分にぴったりなものもあれば、20年後の自分を想像させてくれるようなものもあって、そのどれを選ぶのかによっても、今後の時計との向き合い方は変わってきそうですね。

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左:「腕につけた時の感覚もカタチによって全然違いますね」と須賀さん。交互につけながら、丸形と角形での印象の違いを比較していく。 右:カルティエの「サントス ドゥ カルティエ」は、簡単にブレスレットを交換できる「クイックスイッチ」システムを搭載。

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初めての腕時計選びで、注目すべき4つのポイント

1. 時計の背景にある、歴史やストーリーへの共感

腕時計が誕生した経緯やデザインのコンセプトには、必ずそれぞれのストーリーがある。それを素敵だと思えることや、その価値観に共感できるかが、相棒のように毎日身につける上での第一条件になるといえるだろう。

CARTIER(カルティエ)/サントス ドゥ カルティエ

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随所に取り入れられたビスのモチーフは、当時、建設途中だった鉄鋼づくりのエッフェル塔などをイメージしてデザインされたもの。工業的な力強さとエレガンスが同居する、カルティエらしさあふれるマスターピース。自動巻き、SSケース&ブレスレット(交換可能なカーフストラップが付属)、ケースサイズ41.9×35.1mm、100m防水。¥808,500/カルティエ カスタマー サービスセンターTEL:0120-301-757

2. 男心をつかむメカっぽさと、クラフツマンシップ

技術力のあるブランドほど、隠さずに“魅せる”デザイン設計にしているもので、精密機械や計器の見た目が好きな人であれば、クロノグラフや、ムーブメントを視認できるシースルーバックのモデルを選ぶのも手だろう。

IWC(アイ・ダブリュー・シー)/ポルトギーゼ・クロノグラフ

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フランス語圏のブランドが多いスイス時計の中で、ドイツ語圏らしい個性をもつブランド。ツーカウンターを縦に配した機能美を追求したデザインで、無駄のない計器のようなルックスが魅力。サイズのわりに薄く仕上げたケースで、自然な着用感を実現。自動巻き、SSケース、ケース径41mm、パワーリザーブ約46時間、シースルーバック、アリゲーターストラップ、30m防水。¥907,500/IWC TEL:0120-05-1868

3. 長く使い込むほどに、愛着と味わいが増す素材

シルバー925やブロンズといった素材を採用した腕時計なら、長年使い込むほどに経年変化を楽しめる。デニムやレザージャケットのように、ともに過ごした時間に比例して、愛着も味わいも増し、自分だけの一本になる。

TUDOR(チューダー)/ブラックベイ フィフティ-エイト 925

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各国の軍隊で採用されてきたタフなつくりが自慢のチューダーは、新しいチャレンジにも積極的なブランド。このモデルは素材にシルバー925を採用。経年変化が起こりにくい独自配合により、長く愛せる。自動巻き、シルバー925ケース、ケース径39mm、パワーリザーブ約70時間、ファブリックストラップ、200m防水。¥490,600/日本ロレックス / チューダー TEL:0120-929-570

4. 世界に誇る、メイド・イン・ジャパンの矜恃

時計製造における日本の技術力と美意識は、世界でもトップクラスの水準を誇る。グローバル化が進む時代だからこそ、“メイド・イン・ジャパン”を纏うことは、海外の人とコミュニケーションする際にひと役買うはずだ。

GRAND SEIKO(グランドセイコー)/SBGJ235

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ザラツ研磨による歪みのない鏡面仕上げや山肌を表現したダイヤル仕上げ、太く強い時分針など、グランドセイコー独自のデザイン理念が随所に施されたアイコニックなGMT搭載モデル。自動巻き、SSケース&ブレスレット、ケース径40mm、パワーリザーブ約55時間、シースルーバック、10気圧防水、ブティック限定。¥737,000/セイコーウオッチお客様相談室 TEL:0120-302-617

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「手持ちの服との相性も含め、いまの自分に合いそうなのはチューダー。歴史やストーリーに憧れるのはカルティエ。等身大でもいいし、ちょっと背伸びをしてもいい。悩むのもまた、時計選びの楽しみのひとつですね」。ジャケット¥38,500、パンツ¥35,200、ベルト¥13,200/すべてタクタク、シャツ¥97,900/チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(すべてスタジオ ファブワーク TEL:03-6438-9575)

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※この記事はPen 2021年12月号「腕時計、この一本と生きる」特集より再編集した記事です。