第73回エミー賞の受賞結果が発表! 2021年で最も高く評価された海外ドラマは?

  • 文:上村真徹

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毎年アメリカのテレビ業界で功績を残した作品が表彰され、アカデミー賞と並ぶ米国エンターテイメント界最高峰の栄誉と称されるエミー賞。その2021年度(第73回)の受賞結果が9月19日(日本時間9月20日)に発表された。昨年の授賞式はリモート形式だったが、今年はLAマイクロソフト・シアターの外にあるイベントスペースに会場が設けられ、スターたちはレッドカーペットでゴージャスな衣装を披露しながら会場に集まった。

ドラマ部門、リミテッド・シリーズ/テレビ映画部門、コメディ部門という3つの部門からなるエミー賞の結果をお届けする。

ドラマ部門は『ザ・クラウン』が圧勝

ドラマ部門では、女王エリザベス2世を中心に英国王室の歴史を描いた『ザ・クラウン』と、『スター・ウォーズ』シリーズ初の実写ドラマ『マンダロリアン』が共に最多24部門で候補となり有力視されていた。このうち作品賞に選ばれたのは『ザ・クラウン』。今回のシーズン4ではチャールズ皇太子とダイアナ妃のロマンスや結婚生活、さらに“鉄の女”サッチャー首相と女王との対立を生々しく描写。主演女優賞に輝いた女王役オリヴィア・コールマンをはじめ、本人が憑依したかのような俳優陣の演技も含めて高く評価され、主要部門を完全制覇した。

リミテッド・シリーズ部門では、映画『アベンジャーズ』シリーズの続編『ワンダビジョン』や、ケイト・ウィンスレットら実力派俳優の豪華競演作『メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実』などが激しく競り合う中、Netflixオリジナルドラマ『クイーンズ・ギャンビット』が作品賞を受賞。身寄りのない天才少女がチェスの才能を開花させて世界的なプレイヤーに上り詰める痛快サクセス・ストーリーでありながら、彼女が男性優位の世界で偏見を乗り越えていく、フェミニズムの要素も組み込まれた作品としても注目され、納得の受賞といえる。

また、今回はコロナ禍の影響で配信扱いとなった劇場公開用映画にもテレビ映画作品賞へのノミネート資格が与えられ、『アメリカン・ビューティー』の脚本家アラン・ボールが監督を務めた『フランクおじさん』など質の高い良作がノミネートされていた。その中から作品賞に輝いたのは、大物カントリー歌手ドリー・パートンが作った曲をミュージカル仕立てで贈る『ドリー・パートンのクリスマス・オン・ザ・スクエア』。スタジオセットでミュージカルシーンを撮影するという今となっては逆に珍しい温故知新スタイルが、現代版「クリスマス・キャロル」というべき心温まる物語と相まって評価された。

コメディ部門で作品賞に選ばれたのは、新作コメディシリーズ史上最多タイとなる20部門ノミネートを果たした『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』。米国のアメフトコーチから英国のサッカーコーチへ転身した男の奮闘を、両国のカルチャーギャップも交えて面白おかしく描きながらハートウォーミングな感動も誘い、前評判通りの受賞となった。また、主人公テッド役でゴールデングローブ賞をはじめ数々の賞を総なめにしてきたジェイソン・サダイキスが、エミー賞でも主演男優種に輝いた。

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2021年度(第73回)エミー賞 主要部門受賞結果

【ドラマ部門】

■作品賞『ザ・クラウン』

■主演男優賞 ジョシュ・オコナー『ザ・クラウン』

■主演女優賞 オリヴィア・コールマン『ザ・クラウン』

■助演男優賞 トビアス・メンジーズ『ザ・クラウン』

■助演女優賞 ジリアン・アンダーソン『ザ・クラウン』

【リミテッド・シリーズ/テレビ映画部門】

■リミテッド・シリーズ作品賞『クイーンズ・ギャンビット』

■テレビ映画作品賞『ドリー・パートンのクリスマス・オン・ザ・スクエア』

■主演男優賞 ユアン・マクレガー『HALSTON/ホルストン』

■主演女優賞 ケイト・ウィンスレット『メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実』

■助演男優賞 エヴァン・ピーターズ『メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実』

■助演女優賞 ジュリアンヌ・ニコルソン『メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実』

【コメディ部門】

■作品賞 『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』

■主演男優賞 ジェイソン・サダイキス『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』

■主演女優賞 ジーン・スマート『Hacks(原題)』

■助演男優賞 ブレット・ゴールドスタイン『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』

■助演女優賞 ハンナ・ワディンガム『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』

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