東京・神宮前の閑静な住宅地にギャラリー「白紙」がオープンする。白紙は同じビルの1階と2階にあるショップ「Graphpaper」から、ギャラリーの機能だけを抽出した新しい空間だ。空間自体にあまり意味合いをもたせず、まっさらでありたいという考えで白紙と名付けられた。作家やアーティストとともに作品を設えた時、作品自体の個性や配置によって空間が完成する、ということを重視している。常識や先入観にとらわれず、自由な発想をもってさまざまな物事、様式や素材を探究し続けることができる場である。
9月4日からは、オープニングエキシビションとして陶芸家の中井波花の個展を開催。手捻りで薄く伸ばされた土、内側と外側の最小限の境目。表面には、地層のように成型時の環境やその過程が痕跡として表れている。この展示の核となる「肖々ーayakatte-」というシリーズ作品には、朽ちゆく建物のような退廃的な美しさがあり、 圧倒的な存在感で空間を満たす。陶芸で追求される精巧さや丈夫さとは対極に、歪みやひび割れといった表情こそが、 荒々しくて力強く、同時に繊細な美しさであると静かに訴えかけているようにすら感じる。他にも、銀彩のシリーズ、湯呑みやボウルなど日常で使用することができる器も多数用意されている。

『中井波花展』
開催期間:9月4日~9月12日
開催場所:東京都渋谷区神宮前5-36-6 ケーリーマンション3F
TEL:03-3409-3456
営業時間:12時~19時
休館日:月曜
https://airrsv.net/namikanakai/calendar
※開催日時・内容などは変更となる場合があります。事前に確認をお薦めします。