会社に導入を薦めたい、法人契約向けワーケーション3選

  • 編集&文:高野智宏
Share:

旅のデスティネーションで仕事をする、ワーケーションに特化したプランが続々登場中。なかでも、個性的な提案がある3つを紹介する。

離島がもたらす、刺激と癒やしの相乗効果

210805-office-01.jpg

仕事に打ち合わせ、休憩と多目的で使えるラウンジスペース。滞在者が利用できるキッチンもあり自炊も可能だ。今年7月から、地元のカフェと提携したローカル食材を活用したケータリングサービスも開始。朝昼晩の3食にBBQの手配も可能という。

リゾート感満載のワーケーションを望むなら、今年5月に開業した「アイランドアンドオフィス 八丈島」がお薦めだ。

アイランドアンドオフィスは、「働く景色を、変えていく」をコンセプトに、日本の離島に宿泊機能付きのサテライトオフィスを開発・運営する会社。その第一弾が、八丈島オフィスである。

東京から287km南下した“常春の島”、八丈島の北西。オフィスはその緑深い森の中に、4000坪の土地を切り拓き建設された。

島の自然をダイレクトに感じる、全面ガラス張りの開放的な空間。そこには、大画面ディスプレイを備えたミーティングスペースや、業務に集中できる個室に加え、カジュアルな雰囲気で打ち合わせのできるラウンジもあり、仕事をサポートする環境が整っている。

疲れたら、大海原と八丈小島を望むデッキでひと休み。その雄大な光景に創造力が刺激され、新たな発想も生まれることだろう。

現在は企業を対象とし、300万円で100泊の年間契約が基本だが、今後は東京と八丈島間の渡航費が含まれるプランや、移住者向けの試泊プランも検討中という。リゾート感ある離島でのワーケーションは、プロジェクトチーム単位での利用などに向きそうだ。

TKS-03_IOHJ_201_X5S1807_L.jpg

オフィスは島の森の中に建てられている。

TKS-02_IOHJ_092_X5S1494_L.jpg
テラスからの絶景は心身をリフレッシュさせてくれる。

Island and office 八丈島

八丈島北西部に建設された宿泊機能付きの会員制サテライトオフィス。現在は企業・団体を対象に、年間300万円で100泊できるプランを発売。移住検討者向けの体験プランも準備中。

所在地:東京都八丈島大賀郷5492
問い合わせ先/アイランド アンド オフィス https://islandandoffice.com

---fadeinPager---

キャンプ体験で、クリエイティブの扉が開く

2c403ac50c7e761bac63410114bc032a8feda9bb.jpg
キャンピング オフィス オソトの一例。屋内であっても、テントの中で打ち合わせすることで気分は高揚するという。

スノーピークビジネスソリューションズは、アウトドアの魅力を活かしたユニークなふたつのプランを提供している。

ひとつめは、「キャンピング オフィス オソト」というコワーキングスペース。スノーピークのキャンプ用品を使い、働く場所をアウトドア空間へと演出したものだ。開放的で自然を感じる空間は、想像力が喚起されクリエイティブな発想が生まれやすいという声が利用者から上がっている。また、各地で展開されているため、人と人、人と企業との交流が起こり、新たな企画が生まれるなど出会いの場としても機能しているそうだ。

もうひとつは「キャンピング オフィス」という企業研修プラン。直営または提携するキャンプ場やホテルなど、おもに屋外のフィールドで行われる。共同でテントを設営、各種研修プログラムに取り組んだ後は、焚火トークで夢やビジョンを語り合う。

オフィスでは得ることのできない経験を通して同僚への共感や思いやりが生まれ、コミュニケーションもより円滑で深いものに。その結果、単なる同僚が信頼できる仲間へと意識が変わり、導入した企業から好評を得ているとか。キャンプがもたらす仕事への影響の大きさは、侮れないのだ。

TKS-05_CAMPING-OFFICE-SHIIBA.jpg

キャンピング オフィスは、全国のキャンプ場をはじめホテルやゴルフリゾートで展開されている。

Camping Office osoto/CAMPING OFFICE

キャンピング オフィスは現在、全国(ハワイ1カ所を含む)16カ所にて運営中。1泊2日と日帰りのプランがあり、宿泊施設を使用した1泊2日のプランは1名¥22,900~、日帰りプランは1名¥11,000~(価格は施設によって異なる)。キャンピング オフィス オソトは、おもに愛知と西日本で9施設を展開。施設によって、法人・月額契約の他、企業向けの貸切や、つど料金を支払うドロップイン利用も可能。

所在地:全国各所
問い合わせ先/スノーピークビジネスソリューションズ 
TEL:0564-73-6657 
https://snowpeak-bs.co.jp

---fadeinPager---

世界自然遺産の町が、テレワーカーを支援

TKS-06_オロンコ岩.jpg

高さ60mの巨岩、オロンコ岩。170段の石段で頂上に登れば澄み切ったオホーツク海や知床連山を見渡せる。

世界自然遺産でワーケーション──そんな取り組みを町みずから行っているのが、北海道の東端、知床半島の北側に位置する斜里町だ。2015年より、道外からのテレワーク誘致を強く推進。驚くべきは、仕事場と宿泊場所とが無料で提供されていることだ。

「しれとこらぼ」と名付けられたテレワークセンターは、1階が大型ディスプレイやプロジェクターを備えたワークスペースで、2階がバス・トイレ、キッチンを備えた3DKの宿泊スペース。無料で利用・滞在が可能であり、ヤフーやグーグルなど延べ280社以上の企業が既に、この施設を活用してきた。

また、訪れたテレワーカーに安心して滞在してもらえるようサポートしてくれる団体もある。地域交流の窓口にもなってくれるというから心強い。

仕事以外の時間は、知床の大自然を満喫したい。高さ60mのオロンコ岩などの知床八景をはじめ、原始の姿をとどめる知床の自然を間近に見られる観光船ツアーや知床五湖めぐりなど、長期滞在することによって、土地の魅力を存分に知る体験ができるだろう。こういう場所こそ、ワーケーションとの相性は抜群。可能ならば子連れで滞在し、子どもに自然と触れ合う機会をつくるのもよさそうだ。

TKS-07_しれとこらぼ.jpg

旧法務局の施設を再利用したテレワークセンター、しれとこらぼ。

TKS-08_IMG_5477.jpg

キタキツネにヒグマ、エゾシカなど野生動物も見られるかも。

しれとこらぼ

しれとこらぼの利用は、北海道外の企業に限定。利用時間は9~17時(ワークスペース)。宿泊施設は最大で6名まで。ワークスペースと宿泊施設の利用は無料だ。予約状況などは、以下の公式サイトで確認を。

所在地:北海道斜里郡斜里町本町41- 4
問い合わせ先/しれとこらぼ TEL:0152-26-7652 
斜里町役場 TEL:0152-23-3131 
www.shiretokolabo.com

関連記事

※この記事はPen 2021年9月号「新しい住みかの見つけ方」特集より再編集した記事です。