世界中のセレブリティたちの腕時計は、さまざまなシーンで写真に収められている。そんな彼らの「フェイバリット・モデル」を検証し紹介しよう。
Serge Gainsbourg
作曲家・作詞家・歌手
●1928年フランス生まれ。映画監督、俳優もこなしたマルチタレント。無頼な生き方と粋な着崩しも絶大な支持を集めた。女優シャルロット・ゲンズブールはバーキンとの娘。91年没。
本国フランスに限らず、いまも語り継がれる永遠の“不良”スターが、セルジュ・ゲンズブール。時にはブリジット・バルドーと恋をし、ジェーン・バーキンと暮らしたケタ外れの色男が愛用したのは、ブライトリングの「ナビタイマー」である。彼がつけていたのは当時の手巻きモデルだが、下3つ目スタイルの文字盤は、現在の自動巻きモデルに通じるものがある。メカニカルな「プロのための機器」と呼ばれるパイロットのためのクロノグラフが、濃密な男の色気を漂わせるゲンズブールに憎いほど似合っている。
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しかも、歌手にして作詞・作曲をこなし、セクシーなデュエットの名曲『ジュ・テーム』や、フランス・ギャルに楽曲提供した『夢みるシャンソン人形』など数々の世界的ヒットを生んだ才人は、ブライトリングにもひとつの伝説を残している。実は彼の「ナビタイマー」は、革ストラップでもブレスレットモデルでもない。ブライトリングに依頼した特注のブレスレットが装着されていたのである。
それはメタルに大きな穴を開けた、いわゆるパンチング・メタル仕様のブレスレット。稀代のアーティストの美意識が生んだカスタムメイドの「ナビタイマー」は、胸を大きく開ける有名なお決まりのドレスダウン・スタイルと同様、その後のゲンズブールのトレードマークのように語られるようになった。このパンチング・メタル・ブレスレットは、後にブライトリングが記念モデルに採用し、現在では「エアレーサー・ブレスレット」の名で正式にラインアップされている。