海と自然へのオマージュと、伝統を超えるロイヤル コペンハーゲンの新たな感性

  • 写真:宇田川 淳
  • スタイリング:山口友里
  • 文:土田貴宏

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ブランドのDNAである海をモチーフとして誕生したテーブルウェア「ハウ」。 その挑戦の姿勢は未来へとつながっていく。

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2019年に誕生したテーブルウェア「ハウ」。今年6月、小さめのプレートとジャグが加わった。プレート小(径17㎝)各¥8,800、中(径22㎝)各¥11,000、大(径27㎝)各¥14,300、カラフェ(1.3ℓ)¥30,800、ボウル小(500㎖)¥11,000、中(1.1ℓ)¥19,800、大(3ℓ)¥27,500、マグ(270㎖)¥11,000、ジャグ(260㎖)¥14,300、持ち手の付いたハイブリッドボウル(460㎖)¥44,000/すべてロイヤル コペンハーゲン

ロイヤル コペンハーゲンはデンマークの王立製陶所として1775年に創業した。以来、現在までこの国の王室御用達のテーブルウェアブランドであり、北欧のものづくりの代名詞であり続けている。熟練の手仕事による高度なクオリティと、長い歴史に裏づけられた気高さは、時代に左右されない価値をもつものだ。

ただしロイヤル コペンハーゲンは、常に新しいデザインに取り組むブランドでもある。その伝統の延長線上に名作と呼ぶべきものをいくつも生み出してきた。なかでも近年、最もエポックメイキングなシリーズは「HAV」(ハウ)に違いない。建築事務所「BIG」を率いるデンマークの著名建築家、ビャルケ・インゲルスらによるデザインチーム「KiBiSi」(キビシ)を起用し、ハウが発表されたのは約2年前。それはブルーの花柄で彩られたロイヤル コペンハーゲンのイメージを一新する、きわめて大胆なものだった。

KiBiSi(キビシ)

デンマーク生まれの3人が2009年にスタートしたデザイン・ユニット。家具、日用品、電気製品など、各々の持ち味を活かした幅広いデザインを手がける。

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Bjarke Ingels(ビャルケ・インゲルス)●1974年生まれ。ビャルケ・インゲルス・グループ(BIG)代表。レム・コールハースの建築事務所を経て独立し、世界的な建築家として活躍している。

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Lars Larsen(ラース・ラーセン)●2005年にキロ・デザインを創業。インダストリアル・デザインを軸に、幅広い企業とコラボレーション。デンマーク製の時計のデザインなども担当。

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Jens Martin Skibsted(イェンス・マーティン・スキブステッド)●自身のデザイン事務所で環境に配慮したプロジェクトを数多く手がける。デンマークの自転車ブランド、バイオメガの創業メンバーとしても活動する。

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左から、デンマークにあるロイヤル コペンハーゲン本店110周年を記念した限定復刻デザイン、シーガル スタイルカップ ゴールドリム(280㎖)各¥16,500、鴨のシェイプをイメージしたティーポット(1.2ℓ)¥44,000/すべてロイヤル コペンハーゲン

キビシの3人がハウをつくる過程でインスピレーションを得たものに、デンマーク北西部のコールド・ハワイと呼ばれるコミュニティがある。北欧有数のサーフスポットだが、その名の通り温暖な場所ではない。都会に住む人も、ここでは波とひとつになり、ありのままの自分に還っていく。海で冷えた身体を温めてくれるのは、仲間たちと囲む食事だ。シンプルゆえに本質的なライフスタイルは、現代における真のラグジュアリーと言えるのではないだろうか。ハウは、そんなシーンにふさわしいテーブルウェアとして発想された。

一連の器に用いられたグレイッシュなブルーは、まさに北欧の海の色そのものだ。職人が2種類の釉薬を吹き付け、焼成の過程で釉薬が混じり合い、独特の色彩をつくり出していく。波打つ海面にも、魚の鱗のようにも見えるレリーフは、1892年に発表された歴史的コレクション「シーガル」のパターンを参照した。

今年、ハウに新しく加わったジャグに象徴される、自然の造形を思わせるフォルムも印象深い。このジャグは、以前からラインアップされていたカラフェを小ぶりにしたような形をしている。カラフェは、海面から飛び立つ白鳥の胸をイメージして、首元から徐々に色が薄くなるグラデーションを施していた。新作のジャグはそれとは逆に、底から上に向かってのグラデーションが美しい。ダークブルーの水面に降り立つ白鳥を連想せずにはいられない。

またプレートには、いままでよりもひと回り小さく、使い勝手に優れた直径17㎝のタイプが加わった。既存のプレートと重ねると、まるで波紋のようなパターンが生まれる。ジャグやカラフェと組み合わせることで、テーブルの上に静かなストーリーが展開していく。

これまでのロイヤル コペンハーゲンの世界観を一新する、ハウがつくり出す澄みきった風景。ただしブランドに受け継がれるクオリティと気高さに、妥協はない。これは豊かな伝統から生まれた現代の器なのだ。

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〜Coming soon〜 Royal Creatures(ロイヤル クリーチャー)

今秋、発表されるロイヤル コペンハーゲンの新作を手がけるのはガムフラテージ。そのモチーフと、発想のルーツをたどる。

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GamFratesi(ガムフラテージ)●デンマーク出身のスティーネ・ガム(左)とイタリア出身のエンリコ・フラテージがコペンハーゲンで結成したデザイン・デュオ。世界的なデザイン賞を多数受賞。

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令和への元号切り替えを記念し日本限定・数量限定で2019年に発売した、「ブルーミスト」のカップ&ソーサーはガムフラテージがデザイン。

伝統的なパターンに、新しい生命を吹き込む

ガムフラテージは、いま人気が急上昇しているコペンハーゲンのデザイン・デュオだ。それぞれの出身国であるデンマークとイタリアの感性を融合させ、さらにオリジナリティを確立した作風がジャンルを超えて評価されている。たとえば2019年発表の「ブルーミスト」は、彼らが手がけたパリの北欧レストランのためのテーブルウェアで、ブルーと白い素地のコントラストが鮮やかだ。

ふたりは21年秋の発表に向けて、ロイヤル コペンハーゲンと新しいプロジェクトを進めている。「ロイヤル クリーチャー」と名付けられるこのシリーズは、海中、水辺、その周辺という3つの場所に棲む生き物がモチーフ。クラシックな印象の「プリンセス」シリーズをベースに、その表面を魚、虫、水棲生物などの姿で彩る。この絵柄は、ロイヤル コペンハーゲンが創業時から用いてきたブルーフルーテッドのパターンを分解し、再構成して描かれるという。ブルーフルーテッドはこのブランドのデコレーション番号「No.1」であり、200年以上の歴史を象徴する絵柄だ。

簡潔で洗練されたイメージのあるガムフラテージだが、ふたりは遊び心を大切にするデザイナーでもある。ロイヤル クリーチャーは、意外性あふれる着想に基づき、伝統的な絵柄から新しい魅力を引き出す試みだ。ハウに引けを取らない斬新さをもつ一方で、ロイヤル コペンハーゲンのベーシックな器とも見事な調和を見せる。

ブランドの新たな歴史を刻む、次なるプロジェクトの全貌が明らかになるのを楽しみに待ちたい。

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プリンセスシリーズをベースに、生き物を描く。

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ブランドの原点とも言える絵柄を分解し、コラージュのように組み合わせてプレイフルな絵柄を構成。絵心を感じさせるシリーズになる。

問い合わせ先/ロイヤル コペンハーゲン本店 TEL:03-3211-2888
www.royalcopenhagen.jp

海と自然へのオマージュと、伝統を超えるロイヤル コペンハーゲンの新たな感性

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