10代半ばで日本文化に目覚めたチェコ出身作家の鮮烈なデビュー作

  • 文:今泉愛子

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『シブヤで目覚めて』アンナ・ツィマ 著 阿部賢一/須藤輝彦 訳 河出書房新社 ¥2,970(税込)

【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】

チェコで生まれ、10代半ばで日本文化に目覚めた著者の鮮烈なデビュー作。本書の主人公ヤナは、14歳で村上春樹の小説『アフターダーク』を読み日本文学に惹かれ、プラハの大学では日本文学を専攻。周囲には、アニメやゲームに詳しい日本フリークが大勢いたが、彼女は昭和初期に早逝した作家、川下清丸を研究する。一方、ヤナの分裂した魂は、かつて滞在した渋谷の街をさまよっていた。日に日に東京の文化を吸収する魂は、青山の老人ホームに行き着く。時空を超えた文化の交流の描写が圧巻だ。

“過剰なわかりやすさ”を求めて、私たちが失ったものは?

異なる業種で働く77人が、緊急事態宣言下で考えたこと。

何度も生まれ変わって人生をやり直す、不思議な女性を描く物語。