隈研吾が惚れ込んだ「北海道東川町」は、クリエイターの新拠点としても期待大

  • 文:Pen編集部

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4月14日は椅子の日に制定された。左から建築家の隈研吾と東川町長の松岡市郎、町内事業所製作の「子供の椅子」を手に撮影。

北海道のほぼ中央に位置し、旭川空港からクルマで10分という好立地にある北海道東川町。数年前から移住者の受け入れを積極的に行い、現在町民の半数以上が移住者という人気の町だ。さらに近年のリモートワークへのシフトで、二拠点居住の地としても注目されている。そんな東川町が今年、新たな取り組みとして4月14日を「椅子の日」に制定した。

東川町は家具製造が盛んで、実は日本の五大家具産地のひとつ旭川家具の約3割をここで制作している。2006年から東川町で生まれてくる子どもに、町から手作りの椅子を贈る「君の椅子」プロジェクトを行うなど、これまでも椅子にまつわる取り組みを行ってきた。

今回、この椅子の日の制定にあたりいくつかのイベントも行われた。そのひとつに、建築家・隈研吾がデザインし、東川町の木工事業所で制作された2タイプの椅子発表がある。新国立競技場をはじめ隈が建築に用いるルーバーをモチーフとしたデザインと、曲げ木の技術を使ったデザインのものだ。ほかにも、町内事業者による椅子も展示、さらに椅子研究家の織田憲嗣による名作椅子のコレクション20脚も展示された。

さらに隈研吾が審査員として参加するアイデアコンペ「『隈研吾&東川町』KAGUデザインコンペ」も開催。30歳以下の学生を対象に椅子のデザインを募集するコンペで、36の国・地域から834件の提出があった。隈は「応募者で日本人の次に多かったのはロシアというのは北海道ならでは。僕は世界各国のコンペの審査に関わっているが、834もの作品が集まることは素晴らしいと思う」とコメント。6月26日に公開審査と表彰式が行われる予定だ。

また、2022年4月に隈研吾が設計するテレワーク用オフィスを開設成する予定だという。「都市へ集中してきた時代から、これからは分散していく時代。東京からのアクセスもよく、自然が豊かな東川町は自分らしく働く場としても最適。しかも、町に機能が詰まっていて、クルマでなくても歩いて移動できることも他の地方と違う魅力だと思う」とコメントした。テレワーク用オフィスの近くには、東川町が所有する椅子「織田コレクション」などを展示するミュージアム構想もあるという。

もともと1985年に宣言を行い、写真の町としても有名な東川町だが、今後ますますフォトグラファー、デザイナーをはじめとするさまざまなクリエイターの拠点となりそうだ。今後の動向を引き続きチェックしていきたい。

隈がデザインした椅子を東川町の事業者が制作した。

こちらも隈がデザインした、建築のルーバーをモチーフにした椅子。

椅子の日の制定にあわせ、旭川空港などにある東川町のアンテナショップ『東川ミーツ』が、複合交流施設せんとぴゅあⅡにオープンした。

織田による椅子コレクションを『織田コレクション展(『世界の名作椅子ベスト20』として展示。5月5日まで開催中だ。