スノーピークが京都・嵐山にオープンした、体験型施設の魅力とは?

  • 文:小長谷奈都子

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杉の無垢材を敷き詰めたショップスペースには、ゆったりと商品を配置。約100年の歴史ある建物が元の趣を大切にしながら改修され、透かし彫りの欄間や組格子など、伝統的な建築意匠も見応えたっぷりだ。

アウトドアブランド「スノーピーク」がこの夏から新たに展開している、体験型施設「ランドステーション」。白馬、原宿に続く3店舗目が、京都・嵐山にオープンした。

1926年(大正15年)に建築された元料理旅館の建物をリノベーションし、嵐電嵯峨駅からほど近い嵯峨商店街の一角に移築。前庭に張られた大きなテントが目印だ。きれいに組まれた石畳を進むと、まずカフェがある。ここではコーヒーや日本茶のほか、スノーピークが本社を構える新潟の「スワンレイクビール」のクラフトビールや、「朝日酒造」とコラボレートした「久保田 雪峰」などの日本酒、京都の人気菓子店「マールブランシュ」のケーキなどを用意。土間に置かれたスノーピークのローチェアやベンチで楽しめる。

その奥は靴を脱いで上がるショップスペース。日本原産の杉の無垢材をふんだんに使った空間に、ハイスペックなキャンプギアや、自然と人をより近づけるようなアパレルアイテムが豊富に並ぶ。羽織や作務衣などの限定商品や、朝日焼、開化堂、和傘辻倉といった京都の伝統工芸とのコラボレーションアイテムにも注目したい。

小部屋には、2020年春夏よりスタートしたスノーピークの新ブランド「ヤマイ」、1917年(大正6年)創業の老舗着物専門店「やまと」が手がける「ヤマト ツナガリ ギャラリー」が入る。

建物裏手に設置されているのは、建築家の隈研吾と共同開発したモバイルハウス「住箱―JYUBAKO―」。素泊まりまたは朝食付きで泊まることができる。黒塗りされた外観と、畳を敷いた座敷スタイルの内装は京都・嵐山のオリジナルだ。

さらに、施設を飛び出して周辺の自然や歴史を感じる「スノーピークゴー」という体験プランも。電動自転車または徒歩で、地元住民のお薦めスポットを巡るコースがいくつか用意され、ケトルやドリッパー、マグなどスノーピーク製品を借りて、淹れたてのコーヒーやデリを道中に楽しめるオプションもあり、観光とアウトドアを同時に満喫できる。

「その土地に深く根づく、人生と野遊びの案内所」というコンセプトを掲げる当施設。スノーピークの世界観とともに、その土地ならではの文化や体験を発信する場所として、嵐山の新たな名所になりそうだ。

新ブランド「ヤマイ」の部屋。デザインを手がけるのは、今春、代表取締役社長に就任した山井梨沙。「豊かな自然に似合う服」をコンセプトに、天然素材や、草木染、泥染めなどの天然染料を使用。

カフェのメニューより。「ブレンドコーヒーM」¥520(税込)、「白馬ポークフランクのホットドッグ」¥800(税込)

「住箱―JYUBAKO―」の内部のイメージ。実際は畳敷きにちゃぶ台、布団という設えに、老舗和傘店「辻倉」の蛇の目傘や「朝日焼」の一輪挿しなどが飾られている。シャワー、トイレ付き、大人2名素泊まり1泊¥41,800〜、大人2名朝食付き1泊¥47,300〜(税込、予定価格)

「やまと」では着物レンタルプランを用意。「1日レンタルプラン」(10時〜17時)¥5,500(税込)。嵐山の自然に馴染む落ち着いたデザインと、綿の着心地が人気。

スノーピークランドステーション京都嵐山
Snow Peak LAND STATION KYOTO ARASHIYAMA
京都府京都市右京区嵯峨天龍寺今堀町7
TEL:075-366-8954
営業時間:10時〜19時
定休日:毎月第3水曜
https://sbs.snowpeak.co.jp/landstation_arashiyama/shop/