軽快で鮮やかな、「サルヴァトーレ フェラガモ」の新作スニーカー

  • 写真:加藤佳男
  • 文:森下隆太
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2020年春夏コレクションで発表されたスニーカー。爽やかでいて品のある佇まいだ。「スエズ」¥97,900(税込)/サルヴァトーレ フェラガモ(フェラガモ・ジャパン)

テクニカルリネンのギャバジンなど新鮮な素材使いと、パステル調のグリーンやブルーなど鮮やかなカラーリングを軸に展開する、今季のサルヴァトーレ フェラガモ。足元もまた然りで、エスパドリーユやサンダルが軽快さを後押しする。なかでも特筆すべきはスニーカー。新作「スエズ」と「ストーム」をピックアップする。

スエズは今季のトレンドであるリネンをキャンバス地で表現した素材を採用。キャンバスはそもそも油絵の支持体を指すもので、おもに麻が使われている。ブランドが居を構えるフィレンツェは名画家を多く残した街でもあり、この一足は今季のテーマである「ホームカミング」を象徴するアイテムといえる。

カラーもトレンドのホワイトで清涼感あふれる。ベースはオーセンティックな外羽根のミッドカットスニーカーだが、ソールには2種のラバー素材が使われており、コンテンポラリーな雰囲気を備えている。裏地はレザーで履き心地は快適、かつ型崩れにも強い。一見すると普遍的な白スニーカーなので、どんなパンツとも違和感なく馴染む。

ミッドソールをぐるりと飾るのは、エスパドリーユに見られるようなジュート縄をラバーで表現したもの。縄目まで精巧に表現されており、技術力の高さを感じられる。上部にアスレティックなラバーを流線形に配し、アクティブな印象をプラス。リネンとラバーの異素材をミックスすることで、ユニークなルックスが生まれている。

リネンキャンバスはコットンキャンバスに比べてやや光沢のある、上品な質感。随所に施されたレザーパイピングが、高級感と耐久性も付与している。さすがは靴づくりからスタートしたブランド、縫製も見事だ。

2020年春夏コレクションから、スエズを着用したルック。鮮やかなブルーのパンツに、彫像がプリントされたシャツを合わせてリゾート感を演出。力の抜けたスタイルが表現されている。

美しい色みに心弾む、バリエーション揃う「ストーム」

軽やかなカラーリングが目を引く新作。次なる季節に向け、気分を高揚させてくれる。「ストーム」¥84,700(税込)/サルヴァトーレ フェラガモ(フェラガモ・ジャパン)

メイン素材にサドルカーフを用いたローカットスニーカー、ストーム。先に紹介したスエズと同様に、ミッドソールのジュート風ラバー、切り替えの流線形ラバー、そしてメインのカーフというつくり。ただしこちらは、カラーリングが実に軽妙で楽しげな印象を醸し出す。

洒脱なカラーリングはフェラガモの得意とするところ。アースカラーでまとめられたカーキは、ソールからシューレースにいたるまで、繊細なグラデーションが秀逸だ。ワインレッドのレザーが大人っぽさを醸すモガーノは、ピンクの切り替えで遊び心を表現。ブラックは艶のあるレザーとホワイトの切り替えでシックな面持ちに。それぞれヒール部分にロゴ入りのラバーブロックが付き、後ろ姿まで抜かりなく仕上げられている。

約100年の歴史をもつフェラガモが提案する、ベーシックながらもアートな洗練を感じさせるハイブリッドなスニーカー。履くだけで春夏の気分を一層盛り上げ、装いに季節感のある彩りを添えてくれる。

土踏まずの形状に合わせたかのように、ラバーの流れる優美な横顔。カーキとグリーンのラバーの境界が見事につながれている。このようなディテールのこだわりが、独特な存在感を放つ。

きめ細やかで強度のあるブライドルレザーを贅沢に使用。着用を重ねることで少しずつ履きジワが現れ、スニーカーでは珍しいエイジングも楽しめる。アウトサイドにはブランドロゴを控えめに刻印。

ソール裏には、アイコンモチーフの「ガンチーニ」が配されている。“小さなフック”という意味で、1950年代の登場以来ブランドの象徴だ。ソールに施された波状の細かいトレッドが歩行時のグリップ力を向上させ、快適な履き心地を実現する。

問い合わせ先/フェラガモ・ジャパン
TEL:0120-202-170
www.ferragamo.com