2019年を、【ファッション】のニュースで振り返ってみた。

  • 編纂・文:高橋一史
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トップブランドのディレクター交代が相次ぎメンズモードが盛り上がった一方で、 “モードの帝王”と呼ばれたベテランデザイナーが他界し、悲報が世界中を駆け巡った2019年。東京の街ではアウトドアテイストの機能的なアイテムが流行し、大型の商業施設も次々に誕生、未来に向けた街の新開発が進んだ。ファッションとアートの融合も勢いを増した2019年を、Pen Onlineの【ファッション】ニュースから振り返ってみた。そこには2020年代を予感させるエッセンスが満載だ。


■旬のアイテム

街の流行で見逃せないのはアウトドア系のスタイルだ。スニーカーブームが象徴するスポーツトレンドが今年、ピークを迎えた。

LOEWE

スペインのラグジュアリーメゾン「ロエベ」から、定番的に展開するアウトドアライン「アイ/ロエベ/ネイチャー」が登場。贅沢な素材使いと手に届きやすい価格設定で注目を集めた。

“リアリティが追求されたこのラインは、もはやモードではありません。アクティブな生活を送る男性が好むワードローブに、目線が向けられているのです”

記事: 着る/知る Vol.50 さすがは「ロエベ」! 新登場したアウトドアラインには、本気のこだわりが満載です。


HERNO

また、防水・防風素材の雄、「ゴアテックス」が開発した、極薄で艶感のある新素材が人気に。上写真の「ヘルノ」をはじめ、様々なブランドに使われはじめている。

“ボディにしなやかな風合いのゴアテックスインフィニアム™ソフトラインドファブリクスを採用。袖を通してみると、まるで上質なレザーのように軽くて優しい着用感に驚かされます”

記事: 快適性を追求した新ブランド「ゴアテックス インフィニアム™プロダクト」の実力を、2つのアイテムで検証する。


AURALEE×TDS NEW BALANCE

野暮ったさが新鮮だったダッドシューズをはじめ、様々なスニーカーが街中の足元を席巻。人気ブランドのオーラリーがアレンジした高機能な一足は、記事のタイトル通りすぐに市場から姿を消した。

“なんとゴアテックスを搭載した、全天候型の防水仕様なのです”

 記事:CATCH the TREND/即完売なるか!? 「ニューバランス」✕「オーラリー」の防水スニーカーに大人も夢中です。


ORLEBAR BROWN✕007

男女ともに、カーキや茶のアースカラーが流行色になった。スポーツ素材ブームの対抗馬で、リネンのような天然素材も台頭。この素材を使ったサファリジャケットは20年春夏も人気を呼びそうだ。

“フロントに4個のボタン付きのポケットが配置されており、サファリジャケットのお手本とも言えるデザインです”

記事:大人の名品図鑑/稀代のプレイボーイ、ジェームズ・ボンドの女性たちを虜にするセクシーなスタイル/第4回 サファリジャケット


2019年を【ファッション】のニュースで振り返ってみた。

■話題のクリエイター

「ダイバーシティ」を象徴する新時代クリエイターのヴァージル・アブローがブレイク。カール・ラガーフェルトが他界し、時代の終焉を告げた。

Virgil Abloh

『Pen』2019年8/15号で特集された、アフリカン・アメリカンのヴァージル・アブロー。自身のブランドを手掛ける傍ら、「ルイ・ヴィトン」メンズのアーティスティック・ディレクターにも就任した。

“ルイ・ヴィトンの伝統的なアイテムに絶妙なアレンジを加え、まったく新しいモダンなアイテムに生まれ変わらせるのが、ヴァージル・アブローの真骨頂”

記事:ヴァージルの手で鮮やかに生まれ変わったルイ・ヴィトンの鞄と、永く愛される定番アイテム


Karl Lagerfeld

85歳で亡くなったカール・ラガーフェルドは、最期まで世界中のファッションを刺激し続けた現役デザイナーだった。日本ブランドのサポートも数多く行い、日本カルチャーの世界発信にも貢献した偉人だ。

“フェンディでは54年、シャネルでは36年という長きにわたりクリエーションを紡いできたのです”

記事:追悼 カール・ラガーフェルド 逝けるファッションの神は、何者だったのか。


Dior

CELINE

Burberry

前述の「ルイ・ヴィトン」をはじめ、19年春夏シーズンは「ディオール」「セリーヌ」「バーバリー」などのメンズディレクターが交代。各メゾンのファンを増やす方向性に導いた。

“若くなりすぎたハイモードの世界が、大人の手に戻るターニングポイントになるかもしれない、記念すべきコレクションです”

記事:Collection/2019年 春夏 メンズ・コレクション/Dior 




■大型商業施設

東京・渋谷の新開発が進み、大型施設の「渋谷スクランブルスクエア」「渋谷パルコ」が新規・リニューアルオープン。

渋谷パルコ

3年間の休止を経て生まれ変わった「渋谷パルコ」。大人の審美眼に耐えうるブランドを吟味して集結させたラインアップと、日本のサブカルチャーを発信するテーマ性で高評価に。

“「日本におけるクリエイティブなファッションはこれ」というテーマ性を感じます”

記事: From Creators/東京に「渋谷パルコ」あり!超リニューアルでその存在感が浮き彫りに。



■アートとのコラボレーション

ファッションとアートとの結びつきが増えた2019年。デザインに新たな目線を加える傾向は、これからも加速していくだろう。

RIMOWA×Daniel Arsham "eroded suitcase"

20歳代の若きCEOが率いるラゲッジブランド「リモワ」が試みたアートピース。限定版「クラシック アタッシェ」に入った彫刻が主役という斬新な製品だった。

“リモワの次なる仕掛けはなんと、アート作品そのもの。マルチアーティストのダニエル・アーシャムによるスーツケース型の石の彫刻を、本物のアルミ製スーツケースに収めたセットを、世界限定500個で販売します”

記事:ダニエル・アーシャムの彫刻と「リモワ」のケースがセットで23万9,760円! このコラボにはコレクター魂がざわつきます。


 仕事着のカジュアル化が進み、快適な毎日を過ごせるようになった反面で、ビジネススーツの売上不振も目立った2019年。海外で台頭したのは、ミレニアル世代やZ世代に向けたエッジーなファッションだ。来る20年にはシックな大人の装いが復活しそうだが、若さを求める動きもまだまだ続くと思われる。来年の皆さんの服装には、どんな変化が生まれるだろうか。