第17回ダイニングアウトが石川県輪島市で開催され、輪島塗を軸に里山、里海の料理が供された。ダイニングアウトとは、日本各地で数日だけ開店するプレミアムな野外レストラン。開催地である金蔵集落は、金の鶴が舞い降りたとの伝説が残る美しい里であり、「日本の里100選」などに選出されている。
今回の料理人は、ダイニングアウト初のダブルシェフ。日本の食材をフランス料理の技法で調理する東京・西麻布「AZUR et MASA UEKI」の植木将仁シェフと、サンフランシスコで熾(おきび)火料理を主としたレストラン「Saison」でミシュラン3つ星を獲得したジョシュア・スキーンズシェフだ。
料理は、シンプルな「木地の器」で供された能登の海の幸のアミューズで始まり、能登の花や野菜で彩られた「仔牛のカルパッチョ」、イカ墨の「鮑の熾火焼き」と続き、メイン料理は能登半島から餌の豊富な七尾湾にある能登島へ泳いで渡ったイノシシを使った「イノシシの藁焼き」。デザートまで全11品のコース料理だ。また、カルフォルニア・ナパのワインや、江戸時代創業の輪島の白藤酒造店の「白菊」などをペアリングし、料理を一層引き立てた。
輪島市名舟町の伝統芸能・御陣乗太鼓の勇壮な音が鳴り響く中、面をつけた男たちのパフォーマンスにゲストは輪島の風土に感じ入り、唯一無二の体験として、忘れ得ぬ一夜となっただろう。