不惑を迎えこれからは、想像を形にする十年に。

  • 文:泊 貴洋
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不惑を迎えこれからは、想像を形にする十年に。

文:泊 貴洋
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玉木 宏

俳優

●1980年、愛知県生まれ。98年に俳優デビュー。おもなドラマに『あさが来た』(2015年) 『スパイラル〜町工場の奇跡〜』(19年)、映画に『真夏のオリオン』(2009年)『悪と仮面のルール(18年)など。www.tamakihiroshi.com内、限定ページで玉木撮影の動画も公開。

2001年公開の映画『ウォーターボーイズ』で、男のシンクロに挑んだ青年が、玉木宏だった。以降、『のだめカンタービレ』(06年)や『あさが来た』(15年)など、ドラマや映画で活躍する俳優となった玉木が、新たに連ドラ主演作『竜の道 二つの顔の復讐者』に挑む。原作は15年に急逝した白川道の未完小説。育ての親を死に追いやった男に復讐するべく、顔を変え、名前も捨てて裏社会を生きる矢端竜一を演じる。

「コンプライアンスの時代に、こういうダーティーで攻めた作品にチャレンジできることを嬉しく思いました。双子の弟・竜二を演じる高橋一生さんは、 同じ80年生まれ。同世代と肩を並べて作品を撮る機会はなかなかないので、 刺激になると思うし、撮影が楽しみです。竜一は裏社会から、竜二は表の世界から同じターゲットに攻め込む。兄弟の対比を大事に演じていきたい」

取材をしたのは『竜の道』のクランクイン直前。緊張の面持ちを想像していたが、玉木は驚くほど自然体だった。「クランクイン前は割とフラットですね。いろんな経験をさせてもらってきたので、ある程度現場の感じは想像できるし、なるべく柔軟性をもっていたいという気持ちもあって。演技を固めて撮影に臨んでも、現場に入ってみないとわからないことが多いんですよ。だから演技プランは6〜7割もっていれば十分。本番で瞬間的に察知したものを活かすために、あまり決め込んではいかないです」

今年、40歳の不惑を迎えた。「もう白髪がけっこうある」と包み隠さず笑う姿は、男から見ても「いい男」だ。

「20代は『知名度を上げなければ』と勢いに任せていっぱい仕事をさせてもらいました。30代になって、少しブレーキをかけながら仕事をするようになって、責任を伴う立ち位置も増えて。 いまは積み上げた経験値やキャリアがあるので、なにかを発信できる年代になってきたのではないかなと、この前、 妻夫木(聡)君とも話していたんです。 具体的なアイデアはまだないですけど、たとえば企画から作品に関わることもアリだと思う。妻夫木君とも『ウォーターボーイズ』以来ちゃんと共演してないので、20年経ったいまこそ、同世代でまたなにかつくれたら」 

演技プランも含め、アイデアを考えるために意識しているのは「外に出て、刺激をもらうこと」だと言う。 「最近はあまり旅という旅はできていないけれど、東京からクルマで行ける場所ならバンバン行きます。アウトドアが好きなので、キャンプをしたり、スキューバをしたり。そこで地元の人たちと仲良くなることも楽しいです。運動も大好きで、ボクシング暦はもう15年くらい。いまはブラジリアン柔術にハマって、ほぼ毎日やっています」

趣味のひとつが、カメラ。昨年は本誌にカメラマンとして登場し、オリジナルストーリーを撮り下ろしてくれた。 「『Pen』を大好きな人たちがいることを知っているので、そこに自分がカメラマンとして出ることはものすごいプレッシャーでした。でも、そういう場に立つと鍛えられるし、成長して次に行ける。いま、興味があるのは動画です。ショートフィルムでも旅の風景でもいい。映像で表現することにチャレンジしてみたい。そんな風に想像していることを形にできたら、また自分が変わるはず。 40代はひとつでも多く、想像を形にする十年にしたい」

2021年には、絵師・喜多川歌麿を妖艶に演じた映画『HOKUSAI』も公開。公私にわたり、脂の乗った「いい男」であり続ける。


Pen 2020年4月15日号 No.494(4月1日発売)より転載


『竜の道 二つの顔の復讐者』

育ての親を死に追いやった男への復讐を誓った、双子の竜一と竜二。竜一は顔も名前も心も捨て裏社会に、竜二は官僚の道を進む。正反対の立場のふたりによる復讐劇。

原作/白川道『竜の道』
出演/玉木宏、高橋一生ほか 脚本/篠﨑絵里子
カンテレ・フジ系  7/28より毎週火曜21時放送