【ピアジェを巡る6つの逸話】第2回:独自のデザインが生む、永遠のレガシー

  • 写真:宇田川 淳
  • 文:並木浩一
  • イラスト:コサカダイキ
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1874年創業、至高の技が光るウォッチ&ジュエリーメゾン、ピアジェ。本連載ではそのものづくりの全貌を、6つの視点から紐解いていく。第2回は、名作「ピアジェ ポロ」を通して見えてくる、時代を超越したデザインについて。

全体のフォルムはラウンドとスクエア、ディテールには丸みと角というアンビヴァレンツな要素が交錯する独創的デザインが、他にはないヴィンテージ感を醸し出す。

「ピアジェ ポロ」の 2020 年モデルに登場したのは、ブルーがかったグリーン文字盤のブレスレット・モデルである。ひと目見たら忘れられないその外見は、まっさらな最新作でありながらどこか既視感を誘う。このモデルが備える独特のク ラシックなテイストは、ピアジェの時計にしかないものだ。初めて見るのに惹かれる大きな理由である。最も個性的なのは、ラウンドケースにクッション型の文字盤という独創の組み合わせだろう。縦横のアスペクト比が近い昔のテレビ スクリーンのようなフェイスは、我々の頭の中にあるデザイン知識のアーカイブから、70年代の記憶を呼び起こす。

「ピアジェ ポロ」はピアジェのメンズでは唯一、ステンレス・スチール製ケースもラインアップに加えたコレクションだ。その名の通りポロ競技の支援にも熱心なピアジェによるラグジュアリースポーツ・ウォッチである。グリーンPVDの文字盤にはピンクゴールド製インデックスを配し、ケースバックにはサファイアクリスタルを用いている 。自動巻き、自社製ムーブメント搭載、ケース径42mm、ケース厚9.4mm、100m防水、限定888本。¥1,443,200(税込)

ギョーシェ仕上げが施され、入射光を魅惑的なフレアで返す鮮烈なグリーンも、ピアジェが得意としてきたオーナメンタルストーン文字盤をもつ歴代の逸品のイメー ジに重なる。ピアジェにとってヴィンテ ージ・デザインは過去への郷愁ではなく、いつでも取り出せるレガシーだ。

1979年の初代モデルは、ブレスレット一体型デザインを採る腕時計の先駆者であり、その後の流行を牽引した。過去に未来であったピアジェ ポロはいま、モダンでありながらクラシックな、時代を超越した魅力で手招きするのである。

70年代ヴィンテージテイストを感じさせる独創的なフェイス。文字盤のグリーンは、青みをおびた絶妙なカラー。水平方向に平行線のギョーシェが施され、外光によって表情を変える。細身の秒針のカウンターにはブランドの頭文字Pをあしらっている。
ラグジュアリースポーツウォッチらしいソリッド感とタフな防水性能の半面、ケース厚は10mmを切っており、ブレスレットモデルでも不必要に持ち重りしない。これも厚さわずか4mmのピアジェ自社製自動巻ムーブメントの恩恵。ベゼル側面からケース上部・下部と、ポリッシュとヘアラインを巧みに使い分けた格上感ある仕上げが見てとれる。

問い合わせ先/ピアジェ コンタクトセンター  TEL:0120-73-1874  www.piaget.jp