【ピアジェを巡る6つの逸話】第1回:自社工房で実現した、超薄型時計への追求。

  • 写真:宇田川 淳
  • 文:並木浩一
  • イラスト:コサカダイキ

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1874年創業のウォッチ&ジュエリーメゾン、ピアジェ。至高の技が光るピアジェのものづくりの全貌を、6つの視点から紐解いていく。第1回は、ピアジェを語る上で欠かせない、機械式時計の“薄さ”について紹介したい。

わずか2.1mm厚の超薄型ムーブメント430Pは1998年のデビュー以来、不動の名声を誇る。ピアジェ内部で製作されるからこそ、繊細さと信頼性が両立する。

ピアジェの魅力のひとつは、機械式腕時計の“薄さ”である。真の高級ドレスウォッチの必須条件は、ムーブメントから薄くなければ成立しないことだ。ピアジェはその基本から、すべてを自社内で解決してきたブランドである。もはや伝説となった機械式手巻きムーブメント9Pが、わずか2mmの厚さを実現したのが1957年。現在の「アルティプラノマニュアル」に搭載された430Pはその血脈に連なり、完成度を極めた2.1mm厚の超薄型ムーブメントである。

「アルティプラノ マニュアル」は、ピアジェ自社製430Pムーブメントを搭載した、超薄型腕時計。青い文字盤とピンクゴールド製ケースは、長い歴史をもつブランド史上初の組み合わせだ。ダークブルーのサンレイ仕上げラッカーダイヤルに、ゴールドのアプライドインデックスが映える。18KPGのバックルを合わせたブルーのアリゲーターストラップも、目に鮮やか。ケース径38mm、パワーリザーブ約43時間、30m防水。¥2,147,200(税込)

全体の調和をとりながら機械式ムーブメントを薄くすることは、実際問題、非常に難しい。ピアジェは最初から自社製作することで、絶対のバランスを保ち、信頼に足る超薄型ムーブメントを実現した。そして今日に至るまで、その奇跡的な作業は自社工房のみで続けられている。 

薄さは目的である以上に、ピアジェだけのスタイルを実現する手段だ。衣装が映えるランウェイのモデルに、望ましいプロポーションがあるようなもの。厚さ6mmの魅力的なアルティプラノマニュアルの中には、それ自体も魅力である、小さく完全な世界がある。ピアジェは自らムーブメントをつくることで、外と内のすべてを、精到に調和させるのである。

ピアジェならではの定評あるスタイルである細身のペンシル型時分針に、バーインデックスは偶数時がダブルのバー。文字盤の中心から放射線状に微細な細線を施すサンレイ仕上げが、入射光を絶妙のフレアに変える。深いブルーと華やかなピンクゴールドの組み合わせは、歴史あるピアジェの腕時計としても初めての魅力である。
わずか6ミリの極薄ケースが側面から見せるのは、極上のシルエット。フルポリッシュのピンクゴールドはベゼルからケースサイドへと連続し、シャープな線のラグはわずかに下降して薄手なフランス製のアリゲーター革ストラップに繋がる。見た目の切れ味のよさだけでなく、スキニーでタイトなフィット感もピアジェ流、最高級極薄ドレスウォッチの身上だ。

問い合わせ先/ピアジェ コンタクトセンター  TEL:0120-73-1874  www.piaget.jp