フィンランドデザインの巨匠、タピオ・ヴィルカラの代表作「ウルティマ ツーレ」。発表から半世紀を迎えた今年、初めて色を纏った特別なモデルが登場しました。
フィンランドのデザイン史に大きな 名を刻んだデザイナー、タピオ・ヴィルカラ。その40 年にわたるキャリアはあまりにも多彩です。彫刻を学んだのちにデザイナーとなり、ガラス、陶器、照 明器具や電球などの工業製品、紙幣など、数多くの名作を遺しました。 その功績から数多くのデザイン賞を獲得しましたが、初めて大きな賞を受賞したのがイッタラが協賛したデザイ ン・コンペティションです。
受賞後に同社のアートディレクターとなり、イッタラとの生涯にわたる関係が始まります。 ヴィルカラがイッタラから発表したガラス作品は400超。なかでも名作と名高いのが、氷柱や樹氷のように細 かな凹凸を描く「ウルティマ ツーレ」 です。その名はスカンジナビア半島の先住民族、サーミ人が暮らすエリア、ラップランドの極北にある伝説の島を意味します。雪と氷に覆われ、太陽が沈むことがないと言われる最果ての神聖な土地。彼はこの地に思いを馳せ、過酷でありながらたぐいまれなる美しさを備えたラップランドの自然を表現したと言います。
極北の地に思いを馳せ、 自然の美を写し取った。
40 年もの長きにわたりイッタラと仕事を重ねたヴィルカラは、ガラスの透明度や屈折率を研究し、常に新しい手法を追い求めました。1968年に発表された「ウルティマ ツーレ」はその最たるもので、滴り落ちる雫が凍る一瞬にも、氷が溶け始める一瞬にも見える独創的な表情を実現するため、1000時間を超える技術開発が行われました。冷ややかな表情に反してガラスとは思えぬやわらかな手触りと、口当たりのよい厚みが特徴です。
こうして生まれた「ウルティマ ツーレ」は、発表から半世紀にわたり純度の高い氷を思わせるクリアカラーのみを生産してきました。しかし50 年目を迎えた今年から新たな色が加わりました。 レインと名付けられた深いブルーは、 ラップランドの凍った川や雪で覆われた大地をも思わせるものです。
ウイスキーやブランデーを楽しむロックグラスとしてはもちろん、ただ水を注ぐドリンキンググラスとしても美しい。青の向こうに炎が揺らぐキャンドルホルダーも、クリアにはない表情が魅力的です。 十数色の試作から厳選されたレインは、オールドファッションと呼ばれる定番グラスのSサイズをはじめ、カラフェ、ボウル、キャンドルホルダーを展開しています。
北極圏の雄大な自然を宿す名作が色を纏い、特別な時間を過ごす。長い夜を楽しむ北欧の暮らしに倣い、青く染まった氷のグラスで一日の終わりをゆっくり楽しみんではいかがでしょうか。
問い合わせ先/イッタラ
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