ファッションデザイナー、クリストフ・ルメールをアーティスティックディレクターに迎え、ユニクロのパリのデザインチームから世界に発信されるライン、「ユニクロ ユー(Uniqlo U)」。ベーシックウエアに新しい提案を加えたこのラインを、スタイリストの小林 新さんがナビゲート。彼の手によるスタイリングとお薦めアイテムをお届けします。

「ユニクロ ユー」は、新しい素材や最先端技術を取り入れ、ベーシックな服に革新をもたらすべく誕生したラインです。長く世界のモード界で活躍してきたファッションデザイナーのクリストフ・ルメールと、彼が率いるユニクロのパリのデザインチームが手がけるコレクションは、「未来のLifeWear」として着る人が自身の姿を理想的に表現できる服づくりを目指しています。2016年秋冬よりスタートしたこのコレクションが3シーズン目を迎えた今季2017年秋冬のラインアップを、メンズ誌で活躍するスタイリストの小林 新さんがくまなくチェック。彼がとくに気になったアイテムを選び、コーディネート提案とともにその魅力をご紹介します。
コート+ジーンズをルーズに着る新しさ。





「今季もクリストフ・ルメールらしさがよく表れたコレクションですね」
と、アイテムを選んだスタイリストの小林さん。コレクション全体を見回して、もっとも目に止まったのが掲載のコートだそう。
「色合いといい、チェスターコートの原型のような雰囲気といい、ワークやミリタリーといったルメールのテイストが感じられます。背中の生地の落ち感も美しく、たっぷりと分量がありますから、中にインナーダウンを着てさらっと羽織ってもいいし、ビジネスマンならスーツの上に着込んでもいいでしょう」
今回のコーディネートではジーンズを組ませました。
「コートがエレガントだからジーンズで着崩しました。このジーンズもいいんですよ! 9分丈で足首がチラッと見えるバランス。いい感じのヌケ感もあり、アメリカ的なゴツいイメージではありません。そして何より、このクオリティでこの価格! 冒険していつもより1サイズアップを選んでダボッと穿いたり、大人買いでジャストサイズと大きめの2本を揃えるのもありでは?」
ワンランク上のカジュアルアップな着こなし。





「シャツをジャケットとして着るスタイルは、ちょっとお洒落上級者向けかもしれませんが……」
と、前置きしつつ、小林さんがこのシャツをお薦めするのには理由があります。
「現在、古着好きの間でも人気のフレンチワークウェアのような、縫製の上品なステッチがまず魅力です。こういうディテールって、男ゴコロをくすぐられますよね。『もともとワークウェアが好きな人が、大人になって着るならこういう服』、という感じです。ここではワインカラーを選びましたが、コレクションにはブルーもあり、それもカッコよくて気になりました」
今回のユニクロ ユーでのスタイリングを通して、小林さんが感じたことは?
「この価格で、このクオリティとなれば……どのブランドも太刀打ちできないな(笑)。ユニクロの店舗は地方にもたくさんあるし、ちょっとお洒落したい人が入門するのに、ユニクロ ユーは最適だと思います。高級な服を長く着ることだけがすべてではありませんから。コストパフォーマンスの高さで服を買い、時代感を楽しむのもいいと思います。ユニクロ ユーは、フレンチやミリタリーなどさまざまなスタイルあわせもったデザインが現代的です。僕はもともとクリストフ・ルメールのデザインが好きなんですが、彼の過去の仕事を知らない人でも、自由に自分流に着られるラインだと思います」
クリストフ・ルメール、長く華麗なその経歴。

1965年にパリで生まれたクリストフ・ルメールは、90年に自身の名を冠したブランドを発表し、以降、休止期間も経ながらデザイン活動を続けてきました。親日家で、日本ブランドのノートブックや万年筆を愛用したり、直営店を東京・原宿に(さらに過去には代官山にも)つくったこともあります。2000年には「ラコステ」のディレクターに就任するなど、他ブランドとの関わりも深く、世界のモード界で一躍名が知られるようになったのは、10年の「エルメス」のウィメンズアーティスティック・ディレクターの就任。この仕事は15年春夏コレクションまで続きました。ユニクロでは15年秋冬に、コラボレーションとなる「ユニクロ アンド ルメール(UNIQLO AND LEMAIRE)」を発表。16年秋冬の「ユニクロ ユー」へと結びつきます。
いまやパリのユニクロのチームの一員として活動する彼は、新しい素材や先端技術を用いて、次世代のベーシックを生み出しています。ユニクロ ユーはユニクロの今後に大きな影響を与えるであろう、クリエイティブなコレクションなのです。

スタイリスト 小林 新
1978年、神奈川生まれ。大学卒業後に2006年よりスタイリストとして独立。男性ファッション雑誌やアパレルブランドのカタログや広告をはじめ、俳優、ミュージシャンや大手一般企業の広告に至るまで、センスを活かして幅広く活躍中。