快適な“使い心地”にこだわって、変化し、進化し続ける「STANDARD」

  • 写真:宇田川 淳
  • 文:高野智宏
  • ムービー:HIROBA
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世界的なデザイナーである和田智氏の監修で、定番モデル「STANDARD」のリデザインを行った「JINS DESIGN LAB.」。“流行”も“定番”も知り尽くす、スタイリストの小林伸崇さんがその魅力に迫ります。

デザインの力で新たな価値をもたらし、アイウエアをもっと身近で楽しく、そして大切なものにしていくジンズのデザインプロジェクト、それが「JINS DESIGN LAB.」です。高品質なモデルを生み出すことでジンズのデザインクオリティを向上させてきた同プロジェクトが次に手がけたのは、定番モデルを見直すことでした。

新たな定番シリーズ「STANDARD」は、カーデザインを中心に活躍するプロダクトデザイナーの和田智氏が監修を務め、定番モデル32型計128種をリデザインしたものです。今回は、なかでもクラシックな印象のアセテートモデルがいかなる進化を遂げたのかを、ファッション誌などで活躍するスタイリストの小林伸崇さんに体感してもらいました。小林さん自身にとっての定番的なアイテムを紹介してもらいながら、「STANDARD」の魅力をひも解きました。

0.1ミリ単位の改善により、進化し続ける定番アイテム

小林伸崇。1976年、和歌山県生まれ。マガジンハウス「POPEYE」編集部での編集アシスタントを経て、ファッションスタイリストとして独立。弊誌「Pen」やメンズファッション誌をはじめ、広告、CM、ブランドカタログなどで多彩に活躍する。

自らも約20本を所有する眼鏡ユーザーであり、デスクワークの際にはパソコン・スマートフォンなどが発するブルーライトをカットする「JINS SCREEN(旧JINS PC)」を使用するなど、以前からジンズのアイウエアを愛用する小林さん。「JINS DESIGN LAB.」が試みた、定番モデルのリデザインをどう感じたのでしょうか?

「『JINS SCREEN』やセンシング・アイウエア『JINS MEME』の開発など、ほかのアイウエアブランドがやってこなかったことに挑戦する姿勢に、かねてから感心していました。また、全128種類もの定番モデルをすべて進化させ、デザイン性とかけ心地をいっそう向上させようとするジンズの姿勢には強く共感します。アイウエアと同じように、身に着けるもので僕が定番として愛用しているのが、この『トム ブラウン』のボタンダウンシャツです。老舗メーカーの生地を使用した定番モデルながら、縫製やシルエットをリファインすることでデザインも着心地もモダンに進化し続けているアイテムで、9年ほど前から愛用していますが、いまなお新鮮さを失わず着続けられる定番ものです」

「トム ブラウンのボタンダウンシャツと出合ったのは12年ほど前のこと」と小林さん。「パリで行われた展示会で初めて見たのですが、これまでのシャツにないシェイプされたラインが新鮮でとても印象的でした。9年間着続けてもヨレない生地の堅牢さも頼もしいですね」

「定番とは、人やスタイルを問わず、誰もが合わせやすいものだと思います。たとえば、ワードロープにあって安心するものや、気がついたらまたこれを着ちゃっているな、というもの。その意味では、まさしくこのシャツが、僕にとっての定番アイテムなんです」。そう語る小林さんに、ジンズの新たな定番シリーズ「STANDARD」から、アセテートモデルのデザインとかけ心地についての感想をうかがいました。

「シンプルなラインがデザインのポイントになっているとのことですが、なるほど、一見ボリューミーなスタイルながら、上から見るとフロントやテンプルのラインがフラットで、全体的にスッキリした美しいフォルムに仕上げられていますね。クラシカルなスタイルはそのままに、監修した和田智さんのデザイン性とジンズの技術がこめられていることがよくわかります」

「STANDARD」のウエリントンモデルを手にする小林さん。「パッと見た印象はこれまでと同じウエリントンですが、よく見ればリムやテンプルの厚みが均一になっていたり、シンプルで美しいラインで構成されている。フォルムがキレイなんですよね」

また、なにより小林さんが驚いたのが「STANDARD」のかけ心地だそうです。
「僕のもっている眼鏡にはないかけ心地のよさを感じますね(笑)。重量バランスにもこだわってデザインされているそうですが、本当によくわかる。ここまでボリューム感のある眼鏡は、どうしても鼻や耳裏にテンションがかかり、下を向くとズレる感じがありますが、『STANDARD』にはそのストレスを感じない。リム(レンズを囲む部位)とテンプル(眼鏡のつる)の重量バランスが巧みに計算され、快適なかけ心地を実現しているんですね」

そんな「STANDARD」のかけ心地に、小林さんはトム ブラウンのシャツとの共通点を見出します。
「トム ブラウンのシャツも、タックインした場合に裾が出ないようなレングスなど、縫製やカッティングを絶妙に計算してデザインされている。『STANDARD』もかけ心地を考慮し、0.1ミリ単位のレベルでデザインされているのでしょう。カタチのみならず着心地やかけ心地まで配慮を感じ、定番モデルのリデザインとはこういうものだと改めて感心しました」

「なによりかけ心地が最高です。追求したのは軽さではなく重量バランスと聞きましたが、リムとテンプルのバランスを調整するとここまで快適になるのかと驚きました」と小林さん。「STANDARD」のかけ心地に驚きを隠せない。

シンプルなラインによる美しいプロポーションを纏いながらも、ボリューミーでクラシカルな雰囲気の「STANDARD」のアセテートモデルを、小林さんはスタイリスト目線で「しっくりくる」と表現します。「アセテートなら、デミや黒縁のウエリントンやボストンこそが定番。ここ最近は細身なタイプが多かったと思いますが、やはりこれくらいのボリューム感があったほうが雰囲気がある。シンプルな服装でもこれ1本でお洒落なニュアンスを味つけできるし、定番だけに、その人のパーソナリティに溶け込んで、お洒落な眼鏡スタイルを印象づけられると思いますね」

トム ブラウンのボタンダウンシャツと、リデザインによって生まれ変わったジンズの「STANDARD」。最後に、そんな定番アイテム同士のコーディネートを小林さんから提案してもらいました。

「僕は母親仕込みのアイビー、プレッピー好きですから、オーセンティックかもしれませんが、たとえばウールのネイビージャケットにウールのネクタイを締め、すこしだけモダンな雰囲気を味つけするため、ワイドパンツを併せてみたらどうでしょうか」

「定番アイテムが新鮮さを失わず輝き、支持され続けるのは、スタイルだけでなく、着心地やかけ心地にまで配慮しリデザインを行っているからなんですね」と語る小林さん。

クラシカルなルックスが宿す、モダンでシンプルなライン

フロント、テンプルともにシンプルなライン取りがされ、ボリューム感がありながらも美しいプロポーションに仕上げられた、デミ柄のウエリントンモデル(MCF-16A-191 86)。

「STANDARD」におけるアセテートシリーズのなかで最も代表的なモデルが、この美しいデミ柄を纏ったウエリントンモデル。全体的に肉厚で玉形もやや小さめと、その印象はきわめてクラシックなスタイルながら、ディテールにはさまざまな改良が施されています。たとえば、フロントとテンプルをつなぐ智(ヨロイ)。このパーツをやや薄めにすることで、これまで前傾気味だった重量バランスを調整するとともに、フロントとテンプルをつなぐラインがスムーズになり、デザイン的にもすっきりとシンプルなフォルムに。接続部にも和田さんがこだわった「シンプルなライン取り」が演出されています。

フロントの厚さとテンプル内側の段差をなめらかにすることでシンプルなフォルムを獲得。上から見ると、そのスマートさが一目瞭然です。また、前後の重量バランスをも考慮したこのデザインにより、これまでにないほどに快適なかけ心地がもたらされました。

重量バランスを考慮しリファインされたのはヨロイだけではありません。フロントは、以前のモデルにあった厚みの変化を抑えることで重量を抑えるとともに、きわめてシンプルなフォルムへとリファインされているのです。一方、テンプルも内側にあった段差をよりなめらかにし伸びやかなラインへとデザインするとともに、僅かながらにボリューム感を増すことでフロントとの重量を調整。これにより、これまで前傾だった重量バランスが前後で均一化され、鼻や耳裏へのテンションを軽減。長時間かけ続けてもストレスを感じない、快適なかけ心地を実現しているのです。

モダンの外はねや歪みをなくすことで、これまでは断絶されていたハイライトが、テンプルの末端までまんべんなく走るようリデザインされている。

「STANDARD」のリデザインで和田さんがこだわったのは、シンプルなライン取りがもたらす、クルマのボディに流れるような「美しいハイライト」。いちばん上の画像でもフロント上部にキレイなハイライトが走っていることがおわかりいただけるでしょう。もちろん、それはテンプルにも同様にデザインされています。前述のとおり内側の段差を滑なめらかにすることで光の当たり方が均一になっていて、特に光を透過するデミ柄のフレームでは、その効果が顕著に表れています。さらに、以前は外側へとはねていたモダンも歪みのないラインへと修正。これにより全体に美しいハイライトが走り、その存在感を際立たせるのです。

美しいプロポーションにリデザインされた、アセテートの定番モデル

MCF-16A-191 86

まさに“ザ・スタンダード”ともいうべき、クラシックスタイルの定番モデル。シックな印象を与える黒縁に対し、光が透過することでよりデミ柄が浮かび上がり、クラシックななかにも明るくカジュアルな印象を与えてくれます。どんなスタイルにも好相性の万能な1本です。¥12,960(度付きレンズ代込)

MCF-16A-192 94

サイドに広がった玉型とスクエアなフォルム、そして、ブラックのカラーがアセテートにしてクールで知的な印象をもたらすモデルです。しかしながら装いとの相性は、スーツはもちろんその特徴的なフォルムにより、カジュアルなスタイルとも違和感なく馴染みます。¥12,960(度付きレンズ代込)

MCF-16A-199 86

全体的にクラシカルでボリューム感のある「STANDARD」のアセテートモデルにあって、最も繊細な雰囲気をもつデミ柄のボストンモデル。モダンなプレッピースタイルなど品のよいコーディネートと好相性。優しさやインテリジェンスを演出するには最適です。¥12,960(度付きレンズ代込)

MMF-16A-198 94

個性的なニュアンスを与えることから、ファッションアイテムとしても人気のあるレトロな雰囲気を醸し出すサーモントモデル。シンプルな装いであっても、この眼鏡をかけるだけで印象はガラリと異なります。いつもとは違う自分になれる、コレクションに加えたい1本です。¥12,960(度付きレンズ代込)

●問い合わせ先/ジンズ TEL:0120-588-418(10時~17時 土日祝を除く) www.jins.com