普遍性を追求し、百年愛される空間を生み出す。

文:山田泰巨

今年1月、京橋の「ブリヂストン美術館」が建て替えとともに館名を「アーティゾン美術館」と変え、新たなスタートを切った。オフィス街に呼応するソリッドな佇まいながら、街に開かれた空間には温もりが宿る。 館のデザインを手がけたのは、米谷ひろし、君塚賢、増子由美が結成したデザインスタジオ「トネリコ」。プロポーザルコンペへの参加から竣工までの7年間は、彼らにとっても大きな変化の時間であったという。2002年の結成から着実に仕事を重ねながらも、アーティゾン美術館以前に参加したコンペは落選が続いた。派手さが足りないのかと悩みながらも、自分たちの信念を伝える資料を綿密につくり、アーティゾン美術館では提...

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