読者の心の揺らぎに、
寄り添うブックデザイン

「どうしても書けぬ」「拝啓 〆切に遅れそうです」……苦笑せずにはいられない作家たちの言葉を、大胆にレイアウトした『〆切本』。ハレーションを起こすような配色で表紙絵を際立たせた文学シリーズ。おっ!と思う装丁に、鈴木千佳子の名をよく見ていた。 「装丁の形式にこだわることなく、作品を読んだ気持ちを、素直にデザインに表すにはどうしたらよいか。そんなことをいつも考えています」 鈴木は、アート・ディレクター、寄藤文平のもとでキャリアをスタートさせた。初めの5年間は、大手企業の広告デザインを手がけていたと言う。「私には情報が波及する範囲が広すぎて。ロジカルに物事を説明することが苦手で、デザインで...

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