無理のない青を携え、
生活の中で美を放つ器。

「一般的に青い器は食事と合わせにくいから、敬遠されがちなんです」 高知県香美市で活動する陶芸家、小野象平は自身の器を手に苦笑する。しかし暗色の器に浮かび上がる深い青に魅了されるファンは多い。小野は自ら山で土を掘り、檜(ひのき)の灰を使う釉薬の制作も含めて一から器づくりに挑む。地元の赤土は鉄分が多く、焼き物に向かないと言われるが、あえて使用している。この鉄分と釉薬が結合して生まれる自然の色だから、「無理のない青なのかもしれない」と小野は言う。 陶芸家の小野哲平を父にもつ小野象平は、20代半ばまで会社員として働いた後に、絵画やグラフィティを見ようとイギリスなどを旅して巡った。やがてロンド...

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