『太陽肛門』に新訳が登場。平易な言葉と構成の斬新さ、ハンディでお洒落な装丁でバタイユの思想の核心に迫ります。

文:赤坂英人

ヨーロッパの文学や思想に興味をもつ読書人たちの間で、小品ながらちょっとした話題となっている本があります。景文館書店から出版されたジョルジュ・バタイユ(Georges Bataille  1897~1962年)の『太陽肛門(L'anus solaire)』(酒井健訳)です。バタイユといえば、20世紀のフランスで過激なテキストを書いた文学者、思想家として知られています。『眼球譚』や『マダム・エドワルダ』などの文学作品、『無神学大全』『呪われた部分』『エロティシズム』などの思想、哲学的著作などが有名で、仏文学者の生田耕作らによる優れた訳業が既にあります。また近年は...

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