歪んだ正義がもたらす、「過激化」のプロセスを解き明かす。

文:武田砂鉄(ライター)

【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】 凶悪犯罪が発生すると、近隣住民などに犯人の素性を尋ね、「いやー、ビックリです。そんなことをする人だとは思わなかった」といった声を拾う。いつも思う。そんなことをしそうな人なんて、そこら辺にいるだろうか。 そんなことをする人には見えなかった人が、どうしてそんな過激なことをしてしまったのか。紛争地などでの豊富な取材経験をもつ記者が、「過激化」の正体を探ったのが本書だ。 どんな人がテロリストになるのか、ではない。「大半の人は状況さえ整えばテロリストになるのだ」(エラン・シャダク博士)。社会心理学者のスタンレー・ミルグラムによる「ミルグラム実験」...

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