演技派俳優ポール・ダノが、監督デビュー作で描いた壊れゆく家族の風景。

文:細谷美香

1960年代、モンタナの田舎町。父が職場から解雇され山火事を食い止める出稼ぎに出たことで、14歳のジョーと母のふたり暮らしが始まるが……。ポール・トーマス・アンダーソン監督ら鬼才に愛され続ける俳優、ポール・ダノ。パートナーのゾーイ・カザンと共同で脚本、製作を担当し、長編映画監督デビューを果たした。少年の目を通して描いた家族の日常が壊れていく景色に、寂しさとかすかな温もりが同居している。 父と娘の対立の先を描く家族の物語。『ガラスの城の約束』 銀世界を、リーアム・ニーソンが血で染める『スノー・ロワイヤル』 松坂桃李も、この脚本に衝撃を受けた――。忖度知らずの『新聞記...

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