言語はいかにして消えるのか? 30年の過程を追った貴重な記録。

地球上にある約6000の言語のうち、40%弱にあたる言語が絶滅の危機に瀕している。珍しい言語の消滅は注目を集めやすいが、言語を話す人間そのものにフォーカスすることは少ない。文化人類学者の著者は、ある言語がなぜなくなるのか、ではなくどのようにしてなくなるかを問うべきだと考え、人間に焦点を当てた。言語がなくなるのは人が話さなくなるからで、それはとても社会的なことなのだ。 本書で著者は、ひとつの言語が消滅するプロセスを追うためにパプア・ニューギニアにある僻村、ガプンに住み込み、30年にわたってフィールドワークで村の人の生活を記録する。ガプンでは長い間「タヤップ語」が話されていたが、1980年...

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