バスキア展の喧騒を惜しみながら、残された珠玉の語録集を読む。

文:赤坂英人

2カ月間で約20万人の入場者を記録したといわれる『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』(東京・森アーツセンターギャラリー)が11月17日に閉幕した。2019年の東京に、時ならぬ1980年代アート回顧の旋風を巻き起こし、最終日には入場を待つ長蛇の行列ができた。株式会社ZOZOの前社長である前澤友作氏が123億円で落札してニュースとなった絵画を含め、約百数十点の日本初公開作品で構成された展覧会はさまざまな話題を呼び、現代アートの企画展としては過去最大級のものとなった。その展覧会の喧騒が去ったあと、少し冷静になって振り返ってみると、まるでバスキアからの置き手紙にも似た、一冊の珠玉のような本が...

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