生誕100年記念の展覧会が各地で開催。石元泰博が東西に向けた、モダニズムの眼差し。

文:赤坂英人(美術評論家)

1921年にアメリカ西海岸のサンフランシスコに生まれた石元泰博は、日本を代表する写真家である。彼は、通称「ニュー・バウハウス」と呼ばれたシカゴのインスティテュート・オブ・デザインで学ぶが、そこで身につけたモダニズムの造形感覚は、戦後の写真界をはじめ、建築、デザインなどにジャンルを超えたインパクトを与えた。 その石元の生誕100年を祝う最大級の回顧展『生誕100年石元泰博写真展』が、9月から来年春にかけて3カ所の美術館の共同企画として開催される。まず、東京都写真美術館では「生命体としての都市」をテーマに、石元の中期から晩年にかけての都市のイメージに焦点を当てる。東京オペラシティアートギ...

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