東京都庭園美術館に展開される、生命の源流を見つめる8名の眼差し。

文:川上典李子(エディター/ジャーナリスト)

都心にありながらも豊かな緑に囲まれた美術館に話題の現代作家が集結した。生命の庭、として焦点が当てられたのは、人と自然の密接な関わりだ。 東京都庭園美術館学芸員の浜崎加織は参加作家について「太古から続く生命の中で人間の存在を捉え、アートとして表現している」と語る。生命が避けることのできない死の存在も受けとめながら自身の表現に挑む8名だ。 生と死の双方が凝縮されていることを感じる加藤泉の原初的な生命体。菌やウイルス、細胞など不可視の世界との関係を問う青木美歌の作品。野生そのものを描写する淺井裕介が近年絵の具として用いるのは、鹿の血だ。 館内に注ぐ光を捉える小林正人の作品や佐々木愛の滞...

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