東京都庭園美術館に展開される、生命の源流を見つめる8名の眼差し。

東京都庭園美術館に展開される、生命の源流を見つめる8名の眼差し。

文:川上典李子(エディター/ジャーナリスト)

青木美歌『あなたと私の間に』2006年。今回は空間と響き合う新作インスタレーションに。作家のインタビュー映像も公開され、各作家の制作手法や人生観も興味深い。 photo: Yusuke Sato

都心にありながらも豊かな緑に囲まれた美術館に話題の現代作家が集結した。生命の庭、として焦点が当てられたのは、人と自然の密接な関わりだ。

東京都庭園美術館学芸員の浜崎加織は参加作家について「太古から続く生命の中で人間の存在を捉え、アートとして表現している」と語る。生命が避けることのできない死の存在も受けとめながら自身の表現に挑む8名だ。

生と死の双方が凝縮されていることを感じる加藤泉の原初的な生命体。菌やウイルス、細胞など不可視の世界との関係を問う青木美歌の作品。野生そのものを描写する淺井裕介が近年絵の具として用いるのは、鹿の血だ。

館内に注ぐ光を捉える小林正人の作品や佐々木愛の滞在制作作品、場所の記憶を作品に重ねる志村信裕の新作にも期待が高まる。2月に逝去した康夏奈の作品は、宇宙に興味を抱いていた彼女らしい遺作となった。

COVID–19が広まっていく中で新たに制作が始められた作品も複数含む。本展の準備中、作家たちにとっても予想だにしなかった状況が訪れたのだ。東日本大震災直後から『震災後ノート』を記している山口啓介は『コロナノート』も記し始めた。

こうした8名の作品が歴史的建造物である美術館内でのインスタレーションとして紹介される本展。部屋から部屋へと進みながらの作品との出会いは、森や林に分け入り進んでいく際にも似た気持ちになるかもしれない。

自然という視点は人間や世界そのものを捉える視点である。細胞から宇宙まで、生命の源流に遡る壮大な時の流れや生と死の循環に対する思考を促し、私たちの内に潜むさまざまな感覚をも刺激する。世界が激変し、生き延びるための情報に日々接するようになったいま、人間の存在そのものに向かった渾身作に触れる際に感じる一つひとつを大切にしたい。

加藤泉『無題』2019年。アール・デコの館に配される加藤作品に注目を。 photo: Ringo Cheung courtesy of Perrotin © 2019 Izumi Kato

courtesy of Yuka Tsuruno Gallery

『生命の庭8人の現代作家が見つけた小宇宙』
開催期間:10/17~2021年1/12
会場:東京都庭園美術館
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10時~18時 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:第2・第4水曜、年末年始
料金:一般¥1,000(税込)
www.teien-art-museum.ne.jp
※臨時休館や展覧会会期の変更、また入場制限などが行われる場合があります。事前にお確かめください。

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