ワタリウム美術館のユニークな30年の歩みから、 東京のいまを再考する。

文:赤坂英人(美術評論家)

東京の外苑西通り、通称キラー通りに面した場所に立つ瀟洒な私立美術館。スイスの世界的な建築家マリオ・ボッタが設計した個性的なファサードも印象深いワタリウム美術館が、今年9月に開館30周年を迎える。それを記念して開催されるのが『アイラブアート15 生きている東京展』である。新型コロナウイルスが世界中に広まるパンデミックが発生し、政府が緊急事態宣言を出した年に開かれる展覧会タイトルが「生きている東京」とは、なんとストレートな題名だろう。 ワタリウム美術館は次のようなメッセージを出した。 「2020年、パンデミックの状況下、世界規模で何かが大きく変わろうとしています。1990年の開館以来、...

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