重要作で振り返る、マリオ・メルツの回顧展。

文:坂本きよえ

イタリアで1960年代に起こった芸術運動、アルテ・ポーヴェラ(貧しい芸術)を代表する作家、マリオ・メルツ(1925~2003年)の展覧会が開催中。工場を改装した広々とした美術館、ハンガー・ビコッカに計20点の重要作が展示されている。 メルツは、イヌイットの家イグルーに感動しドーム形の作品を多数制作。自然の移ろいに着目し、石や砂、木などを用いて表現したものがある一方、ネオンを使ったポップな作品もある。同じ形でもさまざまな表情を見せる彼の作品には、アイロニックな政治的なメッセージも込められた。没後15年を経て、改めてじっくりと向き合い、そんな隠れたメッセージを読み取るのも楽しみのひとつだ。

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