この日参加したアルバイトフェローと社員フェローたち。精一杯力を尽くした参加者たちは自信に満ちた笑顔でフィナーレを迎えた。

photographs by Aya Kawachi
text by Junko Kubodera
2000年からスタートし、今年26回目の開催となるタリーズ バリスタコンテスト。“最高の一杯を、最高の人から”をコンセプトに、タリーズブランドの象徴的な存在であるバリスタがより高いスキルやホスピタリティを追求する取り組みだ。去る2025年10月13日、東京・恵比寿のEBiS303 イベントホールにて行われたコンテストの様子をリポートする。
接客販売審査では、種類豊富なタリーズのコーヒー豆の中からお客さまの要望に合わせた商品を提案し、コミュニケーションを行う。
この日バリスタコンテストに挑んだのは、全国にあるタリーズ店舗から選ばれたアルバイトフェローと社員フェロー総勢18名。タリーズでは店舗で働く従業員をフェローと呼ぶが、コンテストでは全国約830店舗から各部門1名ずつのバリスタが予選へ出場。さらに北海道から沖縄まで9エリアごとに4~11名が地区予選へ出場し、そこから各1名ずつが決勝へと進んだ。
ここでは社員フェローの部を紹介する。壇上に立ったフェローは自己紹介プレゼンに始まり、接客販売審査、オペレーション審査、シグニチャードリンクの作成まで、16分間の制限時間内で競技。自己紹介では勤務する店舗を紹介しながら“最高の一杯”にかける思いを伝えると、観客席から応援の歓声が上がった。続く接客販売審査では、コーヒー豆を購入するため来店したお客様に向けての対応が審査される。「会社の上司へのプレゼントにコーヒーを買いにきました」「コーヒーは詳しくないけれどハンドドリップに挑戦してみたい」などランダムな質問に対して笑顔でていねいに対応するフェローたち。日頃のコミュニケーション力が試される。
続くオペレーション審査では、タリーズを代表するメニューであるエスプレッソとカフェラテを作成。⽇々店舗でのバリスタ業務で培った技術⼒を発揮する正念場だが、各人、無駄のない手つきで流れるような動作が印象的だった。そして最後は、今年のテーマである⾖乳を使⽤した競技者オリジナル創作の「シグニチャードリンク」を披露。それぞれに趣向を凝らしたドリンクはネーミングも自ら考案する。「黒糖香るあんバターソイラテ」「とろっとなめらか 台湾豆花ソイカプチーノ」「~香りにときめく~キウイクリーミーソイラテ」などバリエーションに富んだメニューが発表された。
この日参加したアルバイトフェローと社員フェローたち。精一杯力を尽くした参加者たちは自信に満ちた笑顔でフィナーレを迎えた。
見事優勝を勝ち取った保賀雄介さん(右)。勤務先である福島からも仲間が応援に駆けつけた。
福島の和菓子にインスピレーションを得たという『さくっとあられのきな粉豆乳まきあーと』。
米どころ福島の魅力が詰まった一杯だ。
9名のフェローによる白熱したプレゼンテーションが終わると、いよいよ結果発表へ。優れた接客に贈られるホスピタリティ特別賞、創作ドリンクの最優秀賞であるベストシグニチャー賞に続き、3位から1位までが表彰された。
優勝に輝いたのは&TEA エスパル福島店の保賀雄介さん。タリーズ歴9年7カ⽉の保賀さんはアルバイトとして働いていた時に、アルバイトフェローの部でバリスタコンテストを経験している。当時は地区大会の2位止まりだったが、正社員として入社し昨年福島に異動してからの経験が、再チャレンジのきっかけになった。「私が考案したシグニチャードリンク『さくっとあられのきな粉豆乳まきあーと』は福島の和菓子にインスピレーションを受けています。福島には日本三大まんじゅうの薄皮まんじゅう、米どころ福島の日本酒、東北六大祭りのわらじ祭りなど和の心を感じる機会が多く、福島の人の地元愛を肌で感じることができました。温かい東北の方々との触れ合いの中で私自身が成長できたと感じ、今回改めてチャレンジを決めました」と話す。
シグニチャードリンクをつくるにあたっては店舗のアルバイトフェローの協力が欠かせなかったという。
「今回の私のチャレンジが、アルバイトフェローにとっても励みになれば嬉しいですね。最高の一杯を追求するのに正解はない。私たちは毎日何十杯とコーヒーをつくりますが、お客様にとってはその日だけの大切な一杯です。だから一杯一杯に心を込めたい」
技術と接客の両輪で日々研鑽を積むバリスタという仕事の醍醐味を、店舗が一体になって感じてほしいという保賀さん。「優勝できたのはとても嬉しいですが、次はアルバイトフェローにも体験させてあげたい。そしてこの経験を福島の人たちに恩返ししていきたいです」
最後にコンテストの主審を務めたトレーニング部の田代洋介さんにコンテストの意義をうかがった。「コーヒー豆は⽣産者や焙煎⼠をはじめ、多くの⼈の⼿を経て私たちに届いています。それを最高のかたちでお客さまに提供するのがバリスタです。それぞれのバリスタのこだわりや工夫、想いが加わって最高の一杯が出来上がります。そのためには技術だけではなく優しさや笑顔、心づかいといった演出も大切です。たくさんの人を幸せにするために私たちは教育の現場でそれを伝えています」。全国で働くタリーズのバリスタたちにとってコンテストは通過点のひとつだが、この日一人ひとりが高みを目指した勇姿に、多くの参加者が励まされた1日だった。
&TEA エスパル福島店勤務。タリーズ歴9年7カ⽉。アルバイトフェローを経て、正社員として2019年に入社。東京近郊の店舗を歴任し、昨年福島へ異動となり、ショッピングセンター内の同店舗で店長として勤務。「おいしいコーヒーをゆっくり飲むと、今日も一日がんばれます」というお客さまからの声が励みになっているという。

リニューアルした「タリーズコーヒー バリスタブラック」は、ブラジル豆をベースにエチオピア豆とキリマンジャロ豆をブレンドした香り高いブラックコーヒー。粉砕から抽出までの時間を短縮することにより、香りを逃さずドリップ抽出している。深煎りが引き立つブレンドにより、ホットでもコールドでもおいしいキレのある深いコクが特長のブラックコーヒー。
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「苦みの質」にこだわったビターブラック。
程よい苦みとスッキリとした後味を両立させた味わい。まるでショップのアイスコーヒーをテイクアウトしたような味わい。