”問題”と常に向き合う哲学者は、 オフの時間をこう楽しむ。
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03 國分功一郎哲学者

”問題”と常に向き合う哲学者は、
オフの時間をこう楽しむ。

各界で活躍する方々に、それぞれのオンとオフ、リラックス法などについて聞く連載「MY Relax Time」。第3回は、ジル・ドゥルーズをはじめとする現代フランス哲学から現代社会まで、その鋭い分析が注目されている哲学者の國分功一郎さん。精力的に執筆活動を行う國分さんに、研究との向き合い方やリラックス法について語ってもらいました。

写真:殿村誠士 構成:和田達彦

國分(こくぶん)功一郎●1974年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。2018年から東京工業大学教授。おもな著作に『スピノザの方法』(みすず書房)、『暇と退屈の倫理学』(朝日出版社)、『中動態の世界 意志と責任の考古学』(医学書院)など。

「どうやって研究のテーマを見つけているんですか?」とよく聞かれますが、探し回っているわけではないし、脈絡なく降ってくるものでもない。私にとっては列車に乗せられているような感覚です。どうしてその列車に乗ってしまったのかはわからないけれど、とにかく列車が次々と“問題”という駅に停まっていく。原動力になるのは「それ、おかしいでしょ?」という気持ち。関心をもったことについて、いいかげんな分析がされている場合が多くて、それを整えたいんです。いま、関心をもっていることのひとつは「想像力」について。存在しないものを存在させる、とても強力な人間の能力ですが、情報化、グローバル化によって他者との関わり方が変容している現代社会においては、そのあり方が試練に立たされていると感じています。

私はワーカホリックで、研究が趣味みたいなもの。仕事以外で好きなことというと、食べることと、お酒を飲むことです。家にいる時は自分でつくって食べることも多いんですが、冷蔵庫に残っている食材を使い切って完成品をつくるというささやかなことに、大きな喜びを感じますね。だから、残り物をうまく使ってお昼ご飯をつくる時がいちばんの腕の見せどころです。レヴィ=ストロースが言うところの「ブリコラージュ」ですね(笑)。お酒は夜中にひとりで飲むのが好きで、もっぱらビールとワインですね。心に余裕がある時は銘柄に気を配れるんですが、逆に忙しくて気持ちがすさんでくると、飲むお酒のバラエティが少なくなってくる。ただの消費になっていて、楽しめていないことに気づいて、いけないなと思ったりします。

食事の後はたばこを一服。なによりリラックスできる時間です。たばこを吸うのは1日に2、3本程度で、それならいっそやめれば、とよく言われますが、2、3本だからこそ別にいいじゃないかと逆に言いたい。吸い過ぎはよくないと言われるけれど、ちょっと吸って気分転換している人もいるのではないでしょうか。たばこを吸い始めたのは、1997〜98年にかけてフランスに留学していた時からですね。フランスでは、気軽に「1本もらえないか」と声をかけてきて、それが知り合うきっかけになったりする。フランス以外でも海外の学会では、たばこを吸いながらいろんな話をすることで仲よくなったりすることも多い。そういう意味では、大切なコミュニケーションツールでもあると思います。

左:『暇と退屈の倫理学 増補新版』國分功一郎 太田出版 ¥1,296(税込)
右:『中動態の世界 意志と責任の考古学』國分功一郎 医学書院 ¥2,160(税込)

問い合わせ先/JT

www.jti.co.jp

”問題”と常に向き合う哲学者は、 オフの時間をこう楽しむ。