【わずか1㎡に2〜3人】木の幹を囲む小さなオフィス。建築家がつくった仕事場の驚きの姿

  • 文:山川真智子
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GERMANY ドイツ/ミュンヘン

Bau(m)haus.OppositeOffice_02.jpgcourtesy of Opposite Office

ミュンヘンの建築事務所が、大学構内にある古木という異例の場所に自社オフィスを設置した。一見お遊びのようにも感じられるが、実は職場を最小限に縮小しても建築家の仕事は完全に機能すること示す、野心的かつ実験的プロジェクトだ。

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courtesy of Opposite Office

オフィスは木の上 建築家が挑んだ空間実験

このオフィスを作ったのは、2017年の設立以来プロジェクトの大部分を国内外の様々な場所で展開する設計事務所「オポジット・オフィス」だ。これまでの経験から、実際に建築事務所に必要なものはそれほど多くないと実感。そこで最小限度に縮小したオフィスを、建築そのものが生み出される場所、つまり公共空間や公共機関の敷地内に移転するというアイデアにたどり着いたという。このアイデア実現のために協力したのが、芸術と技術分野を専門とする名門校、バウハウス大学ヴァイマル(ワイマール)だった。キャンパス内にある、町で最も古い木の一つが一時的に建築事務所側に提供され、その幹を抱くように取り付けられた、小さな仕事場「バウムハウス・オフィス」が誕生した。

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courtesy of Opposite Office

合理的かつ機能的! ロマン主義への憧憬も

オフィスの広さは、わずか1平方メートルほどだが、2~3人の建築家が働ける完全な機能を備えた職場として設計されている。極めてコンパクトでありながらも、机、作業スペース、模型製作エリア、その他の必要なインフラを可能な限り最小限の空間に収めた。オフィススペースを削減する必要性から始まった試みだが、一つの設計事務所として完全に機能しており、周囲に強い印象やメッセージを与える尖った実験的建築へと昇華している。

設置場所が古木であることにも意味がある。実はオフィスの上部には天窓が設けられ、空の景色を切り取るのではなく、葉と枝が集まる樹幹に向かって開かれている。ロマン主義の思想においては、自然は単なる環境や資源、あるいは調査の対象ではなく、神秘や不可解さや想像力が宿る場所、つまり別の現実や別の未来がある空間として理解されていた。このオフィスでは、木に注目が行くことで人工の世界から離れ、人類よりも古く、ゆったりとした、そして大きな何かへと視点が転換する。機能性、合理性を追求する中にも、現在を超えた場所へのロマン主義的な憧れが垣間見えるのが、この建築のユニークなところだ。

立派なオフィスはいらない 建築家に必要なものとは? 

「オポジット・オフィス」が目指したのは、単なる新しいオフィスではなく、自社の働き方を一貫して建築的に具現化することだったという。国際的に活躍する事務所にとって必ずしも大規模で恒久的な本社が必要というわけではなく、むしろ独自のインフラが小さければ小さいほど、変化する場所、テーマ、状況に柔軟に対応できるとしている。「オポジット・オフィス」にとって、この樹上のオフィスは職場であり、出会いの場であり、新しいプロジェクトの出発点としての役割を果たしている。同時に、意図的に広く開放されており、ビジター、クライアント、学生、そして人間以外の利用者も歓迎ということだ。現在ミュンヘンのオフィス賃料は、ドイツ国内でも最も高い水準にあるという。賃料高騰のさなかに作られた極小かつ家賃ゼロのオフィスは、建築事務所の在り方を問うものでもある。

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courtesy of Opposite Office

山川真智子

Webライター

早稲田大学第一文学部卒業。レコード会社に勤務した後に渡米し、コミュニケーション学の修士号取得。米ノースウエスト航空機内誌の編集を経て、日本航空の機内エンターテイメントの選定買付に携わる。夫の転勤で通算9年の東南アジア滞在後、帰国して世界のニュースを紹介するライターに。現在は関西の片隅で、仕事の合間にフランス語学習に奮闘中。

山川真智子

Webライター

早稲田大学第一文学部卒業。レコード会社に勤務した後に渡米し、コミュニケーション学の修士号取得。米ノースウエスト航空機内誌の編集を経て、日本航空の機内エンターテイメントの選定買付に携わる。夫の転勤で通算9年の東南アジア滞在後、帰国して世界のニュースを紹介するライターに。現在は関西の片隅で、仕事の合間にフランス語学習に奮闘中。