9月28日、パリでルイ・ヴィトンの新作ウォッチが発表された。会場は、セーヌ河のほとりのシュヴァル・ブラン・パリの一室。コレクターでもあった3代目、ガストン=ルイ・ヴィトンが生きた1920年代のキャビネ・ドゥ・キュリオジテ風に仕立てられた室内には、オブジェや歴代のウォッチも並ぶ。ラインナップに加わった新作は、「タンブール スピン・タイム」の定番5モデルと、「ルイ・ヴィトン モントレー セラミック」の2モデルだ。
文字盤に並んだ12個のキューブが回転して時を示すスピン・タイム。メゾンが誇るウォッチメイキングアトリエ「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」を率いる時計師ミシェル・ナバスとエンリコ・バルバシーニが、空港や駅の表示版から着想し、ルイ・ヴィトンに提案したことから生まれたスピン・タイム機構は、いまやメゾンを代表する存在となっている。アイコニックな「タンブール」ケースにこの機構を搭載した「タンブール スピン・タイム」が誕生したのは2009年のこと。進化を続けてきたこのファミリーに、新たな定番として5点の新作が加わった。
やや小ぶりな39.5㎜ケースには、ホワイトゴールドと渋いグリーンを組み合わせた「タンブール スピン・タイム グリーン」、希少なオーストラリア産ブルーオパールとブルーサファイアを使い、深みのあるブルーとローズゴールドが強さとエレガンスをたたえるモデル「タンブール スピン・タイム オパール」が登場。
透明なサファイアクリスタルのケースにルイ・ヴィトンの12のアルファベットが浮かぶ「スピン・タイム エアー ブルー」はクールで軽やかなデザインだ。
新しい表情を見せるのは、12個のキューブで24のタイムゾーンを表示する「タンブール スピン・タイム エアー アンティポード ブルー」。42.5㎜のホワイトゴールド製ケースに、タンブールらしいブルーの組み合わせだ。それぞれ対蹠地にあたる2都市の頭文字が刻まれた12個のキューブはブルーとグレーに2分されて昼と夜を表示する。現在地の時間は、イエローのポインターによって示される。
今回ルイ・ヴィトンは、オートオルロジュリーの歴史の中で特殊な位置を占め、コレクターの注目を集めてきたサーモンカラーに初挑戦した。クールなプラチナに合わせる温かみのあるサーモンカラーは、度重なる試作を経て生まれた色合いだ。スピン・タイム エアーのフローティングキューブ表示にフライングトゥールビヨンを組み合わせた複雑機構は、キャリバーの組み立てに50時間を要する、まさに技術の粋を尽くしたモデルだ。モノグラム・フラワーをかたどったトゥールビヨンケージが、ムーブメントにいたるまで貫かれたルイ・ヴィトンのエスプリを象徴する。
一方で、ルイ・ヴィトンのファッション性を物語る新作も発表された。「ルイ・ヴィトン モントレー セラミック」は、オルセー美術館の内装も手がけたイタリアのデザイナー、ガエ・アウレンティがルイ・ヴィトンのために手がけた1988年の時計「LV Ⅱ」を再解釈したモデルだ。円形のケースの12時の位置に竜頭を置いたユニークなデザインは、ヴィンテージアイテムとしても人気が高い。ウィメンズ、メンズのプレタポルテでもペンダントやベルトにつけるアクセサリーとしてランウェイに登場し、話題になったのを記憶している方も多いかもしれない。
昨年イエローゴールドのリミテッドエディションで復刻。今回は2つのセラミックモデルが定番としてコレクションに加わった。最新の技術で仕上げられたグリーンとブラックの2色のセラミックは、セラミックパウダーを固形化したブロックから立体的にシェイプを切り出し、磨き上げたもの。ラグはなく、ブレスレットがケースの裏を通っているのも特徴のひとつ。
「手首の上にまるで小石が乗っているように見えるでしょう?これは新しい形の時計のつけ方。元はクオーツでしたが、小さな自動式ムーブメントを入れました。優しく、美しい。大好きなモデルです」とミシェル・ナバスは目を細める。
オリジナルでは日付やアラームも表示するクオーツ式だったが、復刻の新作は自社製自動巻きムーブメントに時刻だけを表示。グリーンにはイエローの針、ブラックに白い文字盤には赤い針が映えるスマートなデザインになっている。
メゾンのサヴォワールフェールとオリジナリティを体現し、ハイエンドウォッチを代表する「タンブール スピン・タイム」と、モードのトレンドと歩みをそろえる「ルイ・ヴィトン モントレー セラミック」。定番コレクションに加わった二組の新作は、メゾンのDNAをそのまま物語っているようだ。
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