アラブ首長国連邦
約20年にわたって計画が進められてきたフランク・ゲーリー設計による「グッゲンハイム・アブダビ(Guggenheim Abu Dhabi)」が、2026年12月11日に開館する。
アラブ首長国連邦(UAE)アブダビのサディヤット島に建つ同館は、ニューヨーク、ヴェネツィア、ビルバオに続くグッゲンハイムの4館目となる。現代美術を軸に、アブダビを起点とした新たな文化交流の場を目指す。
10本のコーンがつくる、ゲーリーならではの美術館
サディヤット島の海を望む場所に建つグッゲンハイム・アブダビでは、建築そのものが美術体験の一部として位置づけられている。中央のアトリウムを囲むように30のギャラリーが配置され、最大88mの高さに達する10本の彫刻的なコーン(円錐形)が建物の輪郭を形づくる。
9本にはステンレススチール製のメッシュ、1本にはオニキスとガラスが用いられている。
これらのコーンは造形上の特徴であるだけでなく、自然換気や日射遮蔽の役割も担い、建物のエネルギー効率にも寄与する。
館内のギャラリー面積は1万1600㎡、屋外展示スペースは2万3000㎡、総建築面積は8万㎡に及ぶ。絵画や彫刻、インスタレーション、写真、映像、新しいメディアなど、1960年代から現代までの多様な表現を扱うための大規模な施設となる。
設計を手掛けたゲーリーは、20世紀後半を代表する建築家のひとりとして知られる。グッゲンハイム美術館ビルバオをはじめ、独創的な造形で数々の文化施設を手がけてきた。2025年に死去したゲーリーにとって、同館は晩年の大規模建築プロジェクトのひとつとなる。
アブダビから世界の現代美術を捉える
同館のコレクション形成は2009年から進められてきた。年代順ではなく、「抽象」「ポピュラー・カルチャー」「土地」「言語」「ストーリーテリング」といったテーマを軸に、作品同士の関係を示す構成を採用。地域や世代、異なる芸術的実践を横断しながら、現代美術を歴史的なつながりや共鳴から捉える構成となっている。
この背景には、アブダビを文化交流の拠点として捉え、この地から世界の美術を見渡すという同館の方針がある。
グッゲンハイム財団の既存館とは異なる、地域に根ざしたアイデンティティを打ち出している点も特徴だ。
ゲーリーが遺した、アブダビの新たなランドマーク
サディヤット・カルチュラル・ディストリクトには、すでにルーヴル・アブダビ、ザイード国立博物館、ナチュラル・ヒストリー・ミュージアム・アブダビなどが開館している。
ゲーリーは2025年12月に96歳で死去したため、グッゲンハイム・アブダビの開館を自ら目にすることはなかった。
しかしその特徴的な建築は、アブダビの新たなカルチャー・ランドマークとして、これから長く人々を迎えることになる。
