【Apple新CEOとデザイナーが語る】本を開く感覚から生まれた、折りたたみスマホ「iPhone Duo」

  • 文:林 信行
Share:

「昨日のような製品発表は、私たちにとって本当に特別な時間です。長期間にわたり全力で開発してきた製品が、ようやく陽の目を浴び、世界中の友人や家族、そして皆さんと共有できるのです。これは本当に特別なことで、その瞬間があるからこそ、私たちは日々、仕事に情熱を注ぎ続けることができているのです。昨日は特別に素晴らしい発表会になったと思っています」

天窓から陽の光が差し込む、石で仕上げられた部屋。そこでそう語ったのは、就任10日目のアップル社新CEO、ジョン・ターナス氏だ。

場所は、アップル本社敷地内の丘と一体になった「Apple Park Observatory」。本社ビルを美しく望むこの建物は、その名の通りの展望施設であるとともに、特別なゲストを迎え、美しい風景の中で最新製品に触れてもらう場でもある。

ターナスの横には工業デザイン部門を率いるモリー・アンダーソンと画面の動きなどを含むソフトウェア体験をデザインしているヒューマン・インターフェース・デザイン部門を率いるスティーブ・ルメイが立っていた。iPhone Duo発表時のビデオでもこの製品がアップルらしいデザイン主導で作られていたことを示唆するように2人が揃って登場していた。2人の後ろには、Apple Design Studioから7名ほどのメンバーも参加していた。この日は、製品にインスピレーションを与えた本やオブジェ、Apple Watchのセラミック筐体が焼き上がるまでの複雑で手間のかかる工程など、アップルのハードウェアとソフトウェアがひとつの体験になるまでの道のりをさまざまなアングルで聞くことができた。

新製品の中心にあった、折りたたみ型iPhone

Apple-iPhone-Duo-colors-260909_big.jpg.large_2x.jpg

前日に行われた新製品発表会では、話題の折りたたみ型製品iPhone Duo以外にもiPhone 18 ProとPro Max、Apple Watch Series 12とUltra 4、AirPods 5などが発表されたが、ターナス新CEOは、そのいくつかの特徴を自身の言葉で要約してくれた。

「iPhone 18 Proおよび18 Pro Maxは、前世代の17 Proシリーズからパフォーマンス、バッテリー動作時間、Apple Intelligence、そしてカメラという、人々が最重要視する要素において大きく飛躍しました。外観のフォルムを見ると大きく変わっていないように見えますが、ゴージャスなカラーバリエーション、驚くべき新カメラシステムを搭載しています。特に望遠カメラと可変絞りの搭載は魅力的です。アマチュア写真家にとっては何も意識せずにプロのような写真が撮影できる一方で、プロ写真家もこれまでのiPhoneでは不可能だった写真表現が可能になります。一方、世界で最も正確な新しい心拍センサーを搭載し、美しさと高い機能を両立した新Apple WatchやAirPodsも発表しました」

しかし、ターナスが最も時間をかけて語ったのはiPhone Duoだ。

「私がこの製品を特別だと感じるのは、すべてを一から発想し直す機会を与えてくれたからです。実に多くの新しさが詰まっています。いわば、自由に可能性を探究できる、まっさらなフィールドでした。その成果は、ハードウェアにもソフトウェアにも表れています。スティーブ(・ジョブズ)は「テクノロジーとリベラルアーツの交差点」とよく語っており、そこにこそ、私たちのものづくりの姿勢があります。iPhone Duoは、エンジニアリングとデザインの交差点で、その理念を見事に体現していると思います」

具体例はいくつでもある。

「ヒンジの動き、かちっととじたときの感触や音、この製品ならではの体験を生み出すiOS 27の大幅な進化。そして、製品の状態を示す画面上のシンボル表示も、一つひとつを丁寧に見つめ直し、美しくシンプルな、小さなかたちへとデザインし直しました。機能的なものだけにとどまらず、開いたときのアニメーションに込めた遊び心なども製品の魅力でしょう。実際、発表後、多くの方から大きな反響をもらいました。使うたびに、思わず笑顔になる。我々は、そんな楽しさも大切にしています」

ハードとソフトのデザイナーが、同じテーブルを囲む

スクリーンショット 2026-09-16 16.48.11.png
Appleでインダストリアルデザインを率いるモリー・アンダーソン氏(右)と、ヒューマンインターフェースデザインを率いるスティーブ・ルメイ氏(左)。

続けてデザイン部門の2人のリーダーが自己紹介を行なった。

まず、インダストリアルデザインの副社長、モリー・アンダーソンから、チームの仕事について紹介があった。同部門が担うのは、アップルがつくるすべての製品のハードウェアからパッケージングまで。立体をデジタルで造形する専門家、CNC(コンピューター数値制御)による工作機械やレーザーで模型を加工する技術者、色や人間工学の専門家など、さまざまなメンバーが集まっている。

続いて、ヒューマンインターフェースデザインの副社長、スティーブ・ルメイが、自らのチームの役割を紹介した。担当するのは、画面に見えるものすべての設計から、指先に伝わるハプティクス(触覚)まで。操作設計を担うデザイナーを中心に、アニメーション、レイアウト、グラフィックデザイン、色、アイコン、書体、言葉、触覚などの専門家が、その体験をつくり上げている。

アップルにおいてはパッケージを開き、製品を手に取り、画面に触れるといった行為から、手にした製品で指先に伝わる振動に至るまで、すべてをそれぞれの領域のプロがデザインしていると言う。ハードとソフトを密接に統合した体験のデザインの秘密は、デザインスタジオ部門のオフィスの構造に潜んでいるとアンダーソンは言う。

「アップルとその製品を特別なものにしているのは、チーム同士の緊密な協力から生まれる、ハードウェアとソフトウェアの独自の統合です。それを支えているもののひとつが、スタジオの設計です。とても開放的で、全員がひとつの大きな空間で一緒に仕事をしています」

「デザインスタジオにはスタンディングテーブルがたくさんあります。そこで、ハードウェアとソフトウェアのチームに加え、エンジニアリングや部門を横断するさまざまなチームが、模型やプロトタイプを囲んで検討を重ねています」

形を確かめる模型が、そのまま会話の中心になる。画面をどう見せるか、指をどう動かすかを、同じ物を前にして考えられる。ハードウェアとソフトウェアの融合という言葉が、テーブルを囲む人々の仕事として見えてくる。

製品を手にする私たちは、こうした分業をほとんど意識しない。フォントの輪郭も、筐体の輪郭も、ひとつの体験として受け止める。その一体感を支えているのは、各領域のデザイナーが、周囲の専門家とも知見を持ち寄り、議論を重ねる仕事の進め方なのだ。

「ページを開きたくなる」iPhoneを目指して

その協働を見事に体現したのが新発表の折りたたみスマートフォン「iPhone Duo」だろう。アンダーソンの説明からは、全く新しい形でありながら、どこか親しみやすさを感じるデザインを目指したことが伝わってきた。その親しみは、どこから来るのか。 

「大きさと形は、ノートブックから着想を得ています。角に柔らかな丸みを持たせることで、開いて内側の画面を見たくなるようにしています」 

本を開く時、私たちは操作の仕方を考えない。手に収まる大きさや、角の丸みに触れ、そのまま表紙を開く。新しいiPhoneの話の中に、そんな手の記憶が現れる。

iPhone Duo in star white (Image by HAW-LIN SERVICES).jpg
本を開くような動きを見せる、スターホワイトのiPhone Duo。鏡面に磨き上げたグレード5チタニウムの輪郭に光が走る。100点以上の部品からなるヒンジは、開いた画面を平らに支え、閉じる際には内蔵の磁石とともに、滑らかで確かな手応えを生み出す。HAW-LIN SERVICES

アンダーソンの説明は、画面の縦横比へと続いた。そこで着想源として挙がったのは、国際用紙サイズだった。A4やA5などのA判の紙は、半分にしても同じ縦横比が保たれる。日頃使っている紙に備わるこの性質が、折りたたむ画面を考える手がかりになったという。

iPhone Duoも、たたんだ状態と開いた状態で画面の縦横比を揃えている。外側から内側の画面へ、スムーズで直感的に移行できるようにするための工夫だ。

ちなみに、着想源となったA判の紙の縦横比は1:√2。日本では「白銀比」とも呼ばれる比率だ。

本からは、開きたくなる感覚を。紙の規格からは、折っても保たれる比率を。身近なものを観察し、その構造を読み解き、議論を重ねてデジタル製品へと取り入れる。Apple Design Studioのものづくりが、暮らしの中にある知恵と地続きであることが見えてくる。

ちなみに開くときの感触も細かく設計されている。ヒンジを動かす途中の抵抗を調整し、開き始めは滑らかに、開ききると自然に平らな状態を保つようにした。製品を閉じる際には内蔵の磁石が2つの面を確実にくっつけて閉じてくれる。両面が吸い寄せられるように重なり、小さく、かちっ。「気持ちよく確実に」閉じ切ったことが、心地よい音で耳に伝わる。

この感触にたどり着くまでには、長い時間をかけた調整があったという。アンダーソンが大切にしていたのは、製品を使う人が、開いて閉じる動作を何度も繰り返すという点だ。日々、指先に返ってくる感触だからこそ、細部までこだわり抜いた。

ちなみに、このヒンジ機構は100点以上の精密部品からなる。どんなに精密に作っても寸法にはごく小さな誤差が生じるが、アップルはAIでその誤差を判断して、最も相性の良い本体と組み合わせて製造しているのだという。またレーザーで表面のわずかな凹凸を一つひとつ測り、樹脂を薄く重ねて平らに整えているというから驚きだ。

こうした精度へのこだわりは、ヒンジを収める本体にも及ぶ。薄さを支えるチタンのフレームは、機械加工の後に鏡面研磨を施し、PVDコーティング(物理蒸着)で仕上げている。アンダーソンによれば、開いた時にフレームや画面が美しく連続して見えるよう、エンジニアリングチームと密接に協力したという。本を開くような自然な感覚は、内部の機構から目に触れる表面まで、一つひとつを丁寧に整えることで生まれている。

手の動きに、画面の動きが応える

ルメイがまず触れたのは、ハードウェアの美しい仕上げから受けた刺激だった。外側と内側をひとつの体験につなぐソフトウェアのデザインにも、隣のインダストリアルデザインチームの仕事が着想を与えていたという。

「使う人が戸惑わないよう、外側から内側まで、ひと続きの切れ目のない体験にしたいと考えました」

「iOS 27をiPhone Duoに合わせて設計することで、画面を開くと、窓を通して見ているかのように、ぼかしを伴いながら画面がゆっくりと広がっていく感覚をつくりました。内側の画面に移っても、アイコンは同じ位置にあり、見慣れたレイアウトが続きます」

手の動きと、目が追うものをつなげるアニメーション効果は、ソーシャルメディアでも大きな話題となり、iPhone Duoを象徴する最も大きな特徴の1つとなっている。

ルメイの話は、画面上の操作ボタンの配置にも及んだ。画面の縦横比を活かし、操作部を下部や側面に配置することで、コンテンツを表示する領域をできるだけ広く確保しているという。

携帯回線やWi-Fiの電波の強さ、バッテリー残量などのステータス情報は、大事な情報を直感的に把握できるよう、円形のマークにまとめられ、持ち方や向きに応じて画面の隅へ移動するという。

半開き状態(「ブック状態」)にも新たな意味を持たせた。この状態で机の上に置くと、手に持って操作する時とは異なり、時計やカレンダー、フォトフレームとしても使えるのだ(縦に置くか横に置くかで表示できる内容や表示の仕方が変わる)。

ちなみに本体を机の上に山折りにしておいて、目覚まし時計として使うと、アラーム時間にユーザーが直接目にする外側の画面ではなく、下に向いた内側のディスプレイを光らせ穏やかな間接光で時間になったことを知らせてくれるという。実用性第一のテクノロジー企業からはなかなか出てこない発想だ。

ルメイが紹介してくれたのは、こうした日々の使い心地を豊かにする、さまざまな工夫だった。

ソーシャルメディアでは、ドックと呼ばれる操作部が標準では画面の右側に表示されることについて、左利きには使いにくいのではないかといった声も聞かれた。ルメイに、この配置の考え方を尋ねた。重視しているのは、コントロールや操作系が集まる場所の一貫性だという。

確かに先行するAndroidの折りたたみスマホなどを使ってみると、ウィンドウや操作部の表示位置などに柔軟性があるのは良いが、その分、初心者などには使いたい操作部がどこにあるかを見つけられなくなったり、見失ってしまったりすることがある。

「柔軟性」というと、良いことのように聞こえるが、裏を返すと大事な判断を使う人任せにしているということでもある。アップルはしばしば融通性よりもわかりやすさを重視することで、幅広い顧客層を取り込んできた。

ガラスと金属を、同じ色に見せる技術

iPhone 18 Pro in burgundy (Image by HAW-LIN SERVICES).jpg
深いバーガンディをまとったiPhone 18 Pro。アルミニウムの筐体と背面ガラスは、異なる素材でありながら色と光の反射を丹念に揃えている。3つのレンズのうちメインカメラには、iPhone初の可変絞りを搭載。光を取り込む量とピントの合う範囲を、6枚の羽根で調整する。HAW-LIN SERVICES

今回、iPhone Duoと同時に発表されたiPhone 18 Pro及び18 Pro Maxについては、色を担当するデザイナーから、新しいカラーバリエーションが生まれるまでの話を聞くことができた。

素材単位で分けられたiPhone 18 Proの背面パーツを手にしながら、新モデルが採用したカラーバリエーションが、高級革製品を連想させる「バーガンディー」、薄い空気の層のような澄んだ青色の「グレイシャー」そして「シルバー」と「ブラック」の4色であることを紹介。

色づくりの出発点には、デザインチームが長く魅了されてきた、深いバーガンディ色のレザー素材があったという。対をなす寒色の着想源は、Design Studioに集められた、光やかすみをイメージした文献や写真集。軽やかでありながら力強い「エアードブルー(Aired Blue)」をテーマに、深い黒や伝統的なシルバーとの対比を考えながら、カラーパレットを組み立てていった。

パーツ見本の上には、大判の宇宙の写真集が置かれていた。開かれたページには、「ブルーマーブル」(青いビー玉)とも呼ばれる、宇宙から見た地球の姿があった。

カラーパレットが決まっても、そこからまた長い試作が始まる。求める黒の微妙な色合いに近づけるために、何千枚ものサンプルプレートをつくり、吟味していくという。それでも、まだ出発点にすぎない。今回目指したのは、ガラスと金属という異なる素材の色を、ひとつに溶け合うように揃えることだった。

背面のガラスと、筐体のアルミニウム。素材が異なれば同じインキを使ってもまったく発色が異なってくる(注:塗料業界ではインクではなくインキと呼ばれることが多い)。それでも、それらを、まるでひとつの素材からできているように感じさせるのが目標だ。そのために開発したのが、アルミニウムの微細な薄片を混ぜた特殊なインキを、ガラスの裏面に印刷する技術だったという。

色合わせは、アンテナラインやカメラ周辺にも及ぶ。ガラス面には金属粒子やガラスビーズを配合したインキを使い、光の反射特性まで揃えているという。説明を聞きながら目を凝らすと、一見すると赤紫に見える色の中にも、華やかな紫やピンクのニュアンスが見えてくる。

同様の細かなこだわりは白系の「スターホワイト」と黒系の「ナイトスカイ」の2色しかないiPhone Duoでも展開されている。

Duoという名に二重性を込めたこの製品だが、ガラスとチタニウムという2つの素材の間ではむしろそれを1つに調和させるための試行錯誤が重ねられている。

7年ぶりに復活、職人泣かせのセラミックモデル

Apple Watch Series 12 Ceramic in pearl white (Image by HAW-LIN SERVICES).jpg

7年ぶりに登場したApple Watchのセラミックモデル。日本から調達した高純度のジルコニアを成形し、焼成と研磨を重ねることで、滑らかな曲面と深い艶が生まれる。Series 12では、パールホワイトとナイトブルーの2色を用意する。HAW-LIN SERVICES

新しいApple Watch Series 12では、2019年のApple Watch Series 5以来、7年ぶりにセラミックモデルが復活している。高価ではあるが、頑丈で、滑らかで美しいケースは、どのようにつくられるのか。担当する工業デザイナーから、その製造工程を聞くことができた。

ケースの原材料は、日本から調達した高純度のジルコニアというセラミックの粉。そこに、粒同士をまとめるつなぎ役の樹脂を混ぜ、炉で焼き上げる。

その工程を詳しく聞くと、まず焼く前の状態で削り、完成形に近づけてから炉に入れるという。炉の中では、つなぎ役だった樹脂が取り除かれ、今度はセラミックの粒そのものが結びついていく。粒がぎゅっとまとまるため、全体は小さくなり、硬いひとつの塊になる。私たちが知るセラミックらしい硬さは、ここから出始める。

だが、まだ完成ではない。腕時計は日々身に着けるもの。うっかり落とした時にも耐えられる必要がある。そこで、もう一度、高い温度の下で今度は強い圧力もかける。これが衝撃に強くするための工程だという。

この処理をすると素材の色が濃くなる。今回説明された白いセラミックでは、炉の中の気体の条件を整えてさらに熱を加え、本来の明るい白さを取り戻すのだという。

ここまで来て、ようやく焼く工程が一段落し、ここからは削りと磨きの工程に入る。十分に硬くなったセラミックはダイヤモンドの粒で削って形を精密に整え、その後、仕上げ工程でもダイヤモンドを含む磨き材を使って、最終的な滑らかさと輝きに到達するまで磨きを重ねていく。

小さなケース1つ1つに、実に多くの時間と手間のかかる工程が費やされていると知ると、セラミックケースの価格がそれなりであることもより深く理解できる。

「ほとんど職人の仕事ですね」と筆者が語りかけると、担当デザイナーも、そう呼びたいという思いを聞かせてくれた。

血の通った議論が、新しい体験を生み出す

本を開く手の記憶。半分にしても比率が変わらない紙。一片の革。宇宙から見た地球。そして、焼くたびに姿を変えるセラミック。この日、デザイナーたちが話してくれたものを思い返すと、Appleの製品が、日々の暮らしや自然を参照して作られていることに改めて気がつく。

iPhone 18 Proの可変絞りの着想を尋ねた時にも、アンダーソンが挙げたのは、人々の実際の撮影体験だった。たとえば、光量の少ないレストランで写真を撮る場面。そこで必要な光を、レンズからどう取り込むかを考える。出発点は、いつも製品を使う人のいる場所だ。

今回のアップルのデザイナーたちとの対話は、冒頭でターナスが語った「使うたびに笑顔になれる製品」の裏には、実は膨大な量の観察とリサーチと議論の積み重ねがあるということを再認識させてくれるものだった。

AIの時代に入り、蓄積された知識から瞬時に答えを導き出せるようになるほど、ものづくりの手触りは見えにくくなる。だからこそ、現実のものに触れ、試作を重ね、人と人が議論を交わすアップルの姿勢は、いっそう大切な意味を持つ。人の心を動かす製品の背後にある、そうした仕事の確かさを感じる新製品発表会だった。