240年以上という歴史の中で培われた、確かな信頼と気品を備えたニットブランド、ジョン スメドレー。代名詞といえる極細糸を緻密に編み上げたハイゲージのニットウエアは、極上の着心地と洗練された佇まいで、着る人に品格さえもたらす。そんな“キング・オブ・ニット”の真髄に迫る。
「大人の名品図鑑」ジョン スメドレー:ニット編 Podcast
普遍の名品を、その歴史や周辺のカルチャーとともに徹底解説していく『大人の名品図鑑』の音声版。ここでは、動画や記事で紹介できなかったエピソードを中心にトークを展開する。案内人を務めるのは、フリー編集者の小暮昌弘とスタイリストの井藤成一。毎月上旬に公開。
英国で受け継がれてきた、ニットづくりの伝統
正確な時期や場所を特定することは難しいとされるが、“編み物”は古くから人々の暮らしに取り入れられてきた。およそ3000年前に、アラビア半島の遊牧民が羊や山羊の毛を使って編み始めたという説が有力だ。現存する最古級の編み物として知られるのが、およそ3〜5世紀に編まれた靴下。エジプトで発掘されたこの遺物は、現代の編み物とほぼ同じ技法でつくられている。その後、この技術はヨーロッパや北欧などへと広まり、靴下や手袋だけでなく、防寒用の衣服も編まれるようになった。
最高級のニットウエアブランドとして知られるジョン スメドレーが英国・ダービーシャー州マットロックのリーミルズという町で創業されたのは1784年。日本では江戸時代中期、天明年間の頃にあたる。蒸気機関などの発明を契機に英国で産業革命が進んだのが18世紀後半だから、まさにその時代に産声を上げたことになる。さらに驚くのは、ジョン スメドレーが現在も創業の地でニット製品をつくり続けていることだ。創業当時から稼働している工場一帯は、「ダーウェント峡谷の工場群」の一部として2001年に世界遺産に登録されている。そんな歴史的な場所で240年以上にわたってものづくりを続けてきたジョン スメドレーは、いつしか“キング・オブ・ニット”とも称されるようになった。
極上の肌触りを生む、エキストラファインメリノウール
ジョン スメドレーの秋冬コレクションを代表する素材が、「エキストラファインメリノウール」だ。メリノウールとは、オーストラリアやニュージーランドなどで飼育される「メリノ種」という羊の毛からつくられた天然素材。そのなかでも「エキストラファインメリノウール」は、特に繊維が細く、しなやかな原毛からつくられたものだ。繊維が細いため肌への刺激が少なく、なめらかな肌触りが特徴。上品な光沢もあり、高級感のある表情を生み出す。
ジョン スメドレーとメリノウールとの関係が始まったのは、約200年前にさかのぼる。1830年代にメリノウールなどの高級素材のみを用いたアンダーウエアの製造をスタート。その快適な着心地が多くの人から支持され、ブランドの基礎を築いたといわれている。
メリノウールは軽量で自然な弾力性を持ち、シワや形崩れを起こしにくい。ウール特有の天然の通気性と吸湿性にも優れ、防臭性も備えるなど、実用性も高い。さらに、適切に処理されたウールは生分解性を持つ天然繊維であり、環境負荷の低い素材としても注目されている。そんなメリノウールを長年にわたって研究し、その特性を熟知してきたブランドこそ、ジョン スメドレーなのだ。
現代の装いに寄り添うカーディガン「HALIN」
今回紹介するのは、ブランドの代名詞ともいえる「30G」というハイゲージで編まれたVネックカーディガン。職人の技によって生み出された薄手の編み地は、上品な雰囲気を漂わせながら、タイムレスな魅力を放つ。素材に使われているのは、もちろん「エキストラファインメリノウール」。ニュージーランドの提携牧場で、環境に配慮しながら飼育された羊から採取された上質な原毛を使用している。
実は「カーディガン」も英国生まれのニットアイテムだ。その出自には諸説あるが、19世紀のクリミア戦争の頃、ケガをした兵士が脱ぎ着しやすいように、英国のカーディガン伯爵が考案したといわれている。容易に脱ぎ着でき、体温調節や冷え対策に役立つだけでなく、羽織るだけで大人っぽい印象をプラスできる、まさに“使える”アイテムだ。
しかも、この「HALIN」は、ジョン スメドレーらしいオーセンティックなバランスを保ちながら、「モダンフィット」と呼ばれる、日本人のニーズやサイズスペックに合わせた設計を採用している。 肩幅や着丈、腕まわりに若干のゆとりを持たせることで、これまで以上に日本人の体形にフィットし、カジュアル化した現代のスタイルにも自然にマッチするだろう。
240年以上の歴史に裏打ちされた最高級の素材づかいと、熟練の技術から生み出される極上の着心地。そこに現代的なシルエットを加えた「HALIN」は、長い歴史を持つジョン スメドレーの魅力を、いまの時代のスタイルで楽しむための一枚なのだ。
リーミルズ&カンパニー
TEL:03-5784-1238
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