オーセンティックで洗練された佇まいのミニマルなバックパック。ファスナー金具まで色が揃ったワントーンのグレイッシュな色が、ビルが立ち並ぶ都会の風景にしっくりと馴染む。スーツを着た仕事時に、ショルダーを片方だけ背中に突っ掛けて大股で歩きたくなる。
パソコンやジム用品を詰め込んだ重いバッグの体感を軽くするのが、ショルダーと背中に配された分厚いメッシュパッド。日本のスポーツメーカーならではの実用性が息づく構造である。
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「これぞビジネスユースもイケる味わい系バックパック」と歓喜する人も多いのではないだろうか。かの有名な「水沢ダウン」を生んだデサントが手掛けたものだ。機能とファッションとを結びつけた先駆者が挑んだ、現代生活にふさわしいバックパックである。実用性全振りでも、見た目全振りでもない、絶妙なバランスの機能美が大人心をくすぐる。
なによりも「さすがデサント!」 と感じるのが、クッション素材の使い方。ショルダーと背中がひとつながりで、背負ったとき均一に重さが分散される。ショルダーと背中との一体感が、快適な背負い心地を生む。この紹介記事の制作者も約25Lモデルを入手して荷物が重い日に使っているが、使う気分に魅了されている。身体にフィットさせて歩く体験が楽しい。
背中のクッションパッドの配置で見逃せないのが、もっとも汗をかきやすい中央部分にスペースがあり空気が通ること。同様に汗が酷い腰回りはクッション幅が狭く、間隔も広げられている。デサントはプロスポーツ競技での汗対策の研究に大きく力を注いでいるメーカー。彼らのノウハウがこのシンプルなバックパックにも活かされている。

もうひとつユーザーとしてお伝えしたい魅力は、採用された生地のカッコよさ。洗いざらしのシャツのような凹凸の揺らぎがあるのだ。合繊のコーデュラに「塩縮加工」と呼ばれる縮み加工を施したもの。この凹凸が光を乱反射して、穏やかな光沢を発する。スポーティなのに高級感がある巧みな素材使いである。撥水加工もされており、汚れがつきにくいのも嬉しい。
世のビジネスシーンを見回すと、複雑なパーツを取り付けた真四角なバックパックを背負っている機能優先のスーツ男性をよく見かける。一方で洗練されたルックスを重視するなら、ストックな顔つきで夏の短パンルックでも映える丸みのあるこのバッグがいい候補になるだろう。
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では最後にごく私的な評価を述べたい。100点満点中の80点である。マイナスの10点は、底に補強板がついていないこと。バッテリーのような重い固形物を投げ込むと、底がボコッと飛び出してしまう。その姿は決してカッコ悪くないものの、仕事先で渡す菓子土産やワインボトルなどを安定して納めるには不安が残る。床置き時の平面性とクッション性確保のためにも、取り外し式や跳ね上げ式の底板があればよかった。わたしはネット通販で入手した市販の底板を入れている。
あとのマイナス10点は、横のオープンポケットに水抜き穴が空いていないこと。せっかくの撥水生地だから突然の雨振りが予想される日にも背負いたくなるが、ポケットに水が溜まりそうなのが気になる。このバッグはファスナーや縫い目に防水処理はなく悪天候に強くはない。とはいえ傘を差しても雨が入りやすい横ポケットはいつか対策を望みたいところだ。
指摘した少々の難点を意に介さない人には、一切の不満なく愛用できるバッグだと思う。ロゴマークがデサントのアイコンである矢印マークだけで、ブランドの主張が控えめなのも大人に向く。容量約25Lか約20Lかの用途を考えつつ、最適なサイズを選んではいかがだろうか。

ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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