ロシア連邦南部のダゲスタン共和国で、信じられない規模のバッタの大群が発生した。現地では、車を走らせるとフロントガラスにバッタがバチバチと激しくぶつかり、前方の視界が完全に奪われるほどの状態になっているという。
空を覆い作物を食い尽くすバッタの大群
今年8月初旬、ダゲスタン共和国キズリャル地区がバッタの大群に襲われた。現地では数百万匹規模のバッタの大群が飛来し、空を黒く埋め尽くし、農地や道路を覆い尽くす緊急事態が発生している。
一部の種類のバッタは、好適な繁殖条件が重なって個体数が急増し過密状態になると、「群生相」と呼ばれる形態変化を起こす。体色や生理機能、行動が劇的に変化し、個から一つの巨大な動く集団へと大変貌を遂げるのだ。
一匹でいるときは大人しいのだが、集団化したバッタは植物と見るや飛びついて、果実、葉、幹、皮に至るまであらゆる部分を食べ尽くしてしまう。これは蝗害(こうがい)とも呼ばれ、古代から現代に至るまで、世界各地で大きな被害をもたらしてきた災害である。旧約聖書の出エジプト記でも、エジプトを襲った十の災いの一つとして描かれている。
現地で撮影された映像からは、空にぞっとするほど多くのバッタが飛び交い、農場の作物にたかって食い尽くしている様子が伝わってくる。動画には、「エジプトに降りかかった10の災いの再現だ」「まさに聖書の世界みたい」とのコメントが寄せられている。
防除を阻む「環境保護区」という壁
なんとも恐ろしい蝗害であるが、現代では研究が進み、殺虫剤などでの防除が可能となっている。しかし今回は、バッタの大群が最初に発生・増殖した場所が環境保護区だったことが災いした。
実は、今年5月の段階でバッタの幼虫が確認されており、警告が出されていたのだという。しかし、環境保護区内では化学農薬や殺虫剤の散布が法律で厳しく禁止されているために対策が遅れ、爆発的に増殖してしまったのだ。
事態を重く見た当局は、航空機や地上から広範囲に農薬散布を行うなど、決死の駆除作戦を展開している。しかし、当局はバッタが環境保護区を飛び出し、一般の農地に襲来した段階でしか薬剤を散布できない。その時にはすでに作物が甚大な被害を受けており、後手に回らざるを得ないジレンマに直面している。
専門家によると、この大軍がモスクワなどのロシア中枢部にまで到達するリスクは低いという。現地では乾燥と猛暑が続くさなか、バッタと防除隊の緊迫した戦いが続いている。
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【動画】無数のバッタに襲われているダゲスタン共和国
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