6月初旬、今年もTVR DAYが開催。日本全国から英国製スポーツカー「TVR」が車山高原へ集結した。色とりどりの鮮やかなボディをまとったスポーツカーが並ぶ光景は壮観で、街中ではまず目にすることはない。今年も、この特別な集いの模様をレポートしたい。

TVR DAYは、英国TVR社から正式に認められた日本唯一のオーナーズクラブ「TVRCCJ(TVR CAR CLUB JAPAN)」が主催するイベントで、前夜祭と翌日のツーリング・総会の2日間にわたり開催される。前夜祭では恒例のチャリティーオークションが行われ、毎年大いに盛り上がる。


2日目の総会当日は、早朝ツーリングからスタート。ビーナスラインを走り、霧ヶ峰ビーナステラスへ向かう。メンバーそれぞれが自分のペースで、安全にワインディングロードを満喫した。
さて、今年参加したTVRの中でも特に貴重な3台を紹介したい。
グランチュラ(1961年)
まずはTVRを象徴する存在ともいえる1961年式グランチュラ。しかもレーシング仕様で、乗り心地は非常にハードだ。ステアリングもブレーキもノンパワーのため、相当な腕力と踏力を必要とする上、車内はかなりの高温となるが、オーナーご夫妻は毎年涼しい顔で参加。その姿は、まさにTVRオーナーの鏡である。

サーブラウ(1998年)
TVR唯一の2+2GTモデルが、このサーブラウである。TVRが自社開発した4.2L V8 SOHC「AJP8」エンジンを搭載。最高出力360PSを誇り、わずか約1,100kgの軽量ボディとの組み合わせにより、ある意味「最も過激なTVR」といえる存在だ。オーナーは新車でオーダーしたという生粋のTVRマニアだ。

整然とレイアウトされた美しいエンジンルーム。エンジンがフロントミッドシップに搭載されていることがよくわかる。

まるで宇宙船のようなコクピット。TVRの中でもひときわ個性的なデザインである。

サガリス(2006年)
TVR最後の量産モデルとなったサガリス。日本国内には数台しか存在しない希少車である。鋭く攻撃的なスタイリングは圧倒的な存在感を放ち、もしバックミラーにこのクルマが映ったら、思わず身構えてしまうだろう。
市販状態でレース参戦できるフラッグシップモデルとして開発され、エンジンにはTVR自社開発の「SPEED6」を搭載。4.0L直列6気筒DOHC24バルブから380PSを発生し、1トン強の軽量ボディを強烈に加速させる。その走りは、まさにレーシングカーを彷彿とさせる。

ボンネット内へ隙間なく収まるSPEED6エンジン。整備性は決して高いとはいえなさそうだ。

比較的オーソドックスなコクピット。しかしタコメーターは反時計回りに針が跳ね上がるという、TVRらしい遊び心が隠されている。

一切の電子制御による安全装備を持たないTVR。このクルマを乗りこなすには、ドライバー自身に相応の運転技術が求められる。また、決してトラブルとは無縁ではなく、維持するためには整備を含めた相応の覚悟も必要だ。
それでも近年は若いメンバーが増えている。それは、このクルマが理屈では語れない強烈な魅力と魔力を備えている証拠なのだろう。
もし読者がTVRを手に入れたなら、ぜひTVRCCJの門を叩いていただきたい。経験豊富なメンバーのアドバイスはきっと心強い味方になるはずだ。そして、同じ価値観を持つ仲間との交流は、カーライフだけでなく人生そのものを豊かに彩ってくれる。
EV化や自動運転が急速に進む現代だからこそ、このようなクルマがこれからも存続してほしいと、筆者は心から願う。便利さだけでは語れない世界がTVRにはある。そんなクルマがこれからも生き続けることこそ、自動車文化の豊かさなのだ。
