【女性像を覆すアート】シャネルが届ける、リンダー スターリング日本初個展

  • 文:久保寺潤子
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時代を反映した女性像の変遷も興味深い。会場構成もリンダーが参加した。© CHANEL

およそ50年にわたり、アートや文化における女性表現を挑発し、再定義し続けているアーティスト、リンダー スターリング。日本初となる個展が東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールにて8月16日まで開催中だ。

今春、『KYOTOGRAPHIE2026』の公式プログラムとして公開され好評を博した『LINDER: GODDESS OF THE MIND』展が、東京巡回展としてシャネル・ネクサス・ホールで開催されている。70年代、イギリスのパンクシーンから登場したリンダーは、写真やフォトモンタージュを大胆に用いて、欲望や女性の身体に関する概念に挑み、再解釈したことで高く評価されている。ジェンダーについてまだ声をあげる人が少なかった50年前から制作を続けてきたその作品は、現代においても切実で挑発的な力を放っている。

 

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『Bright Looks』シリーズ(2009)では、リンダーが郊外の主婦のような装いで登場。撮影はティム ウォーカー。© CHANEL

本展はロンドンのヘイワード ギャラリーで開催された回顧展の流れを受け、初期から最新作に至るまでの創作活動の進化をたどる構成となっている。この一連の作品はまた、イギリスのアートシーンにおいて、フェミニズムの先駆者として独自の地位を築いてきたリンダーの存在を裏付けるものだ。

 

Linder Exhibition view 03(c) CHANEL.jpg左から『Body Building II』(1983)、『Untitled』(1983)リンダーはボディビルディングに取り組み、自身の背中を撮影した。© CHANEL

初期のシリーズ『Pretty Girls』(1977年)では、成人向けグラビア誌の女性イメージを再文脈化し、『The Principle of Totality』(2012年)では、45点のモノクロのポートレートに口紅を引いた口元を重ねることで、女性が固定化されたイメージとして構築され消費される存在であることを浮き上がらせた。自らを被写体に制作したシリーズも多く、撮影者と被写体の交錯した世界が、ジェンダーへの問いを投げかける。

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『Disappearing into the twilight,』(2026)。ベルエポック期の演劇文化を伝えるフランスの雑誌『Le Théâtre』と、1903年に初版が刊行された医学資料集『Portfolio of Dermochromes』を素材としている。© Linder

ダダやシュルレアリストからの影響を受けているというリンダー。イメージを可変的な素材として扱うことで、美しさや軽やかさ、ユーモアのセンスも忘れない。いつの時代にも私たちは見えないバイアスによって曇ったメガネでものごとを見てしまいがちだが、既存の枠組みに挑戦し続けているリンダーの作品は、新しいメガネを差し出してくれるだろう。

『LINDER: GODDESS OF THE MIND』

開催期間:開催中〜2026年8月16日(日)
開催場所:シャネル・ネクサス・ホール
東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F
※会期中、関連イベントを実施予定。詳細はウェブサイトをご確認ください
https://nexushall.chanel.com/program/2026/linder/