【湖と一体化する家】ベッドのすぐ先は湖…毎朝景色が変わる水上ハウス

  • 文:Rikako Takahashi
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ITALY イタリア/コモ湖

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Photo: uau studio

アレッサンドロ・マンゾーニの『いいなづけ』は、イタリアでは知らない人はいないほど、国民的な文学作品だ。


17世紀、スペイン支配下の北イタリア・ロンバルディア地方、コモ湖のほとりの街を舞台にしている。若い男女が、悪領主やペストの流行などさまざまな災難に引き裂かれながら、試練を乗り越え、再会と結婚を果たすまでの物語を描く。


物語前半のクライマックスとして、領主の魔の手から逃れるため、恋人たちと娘側の母親が、夜の闇に紛れて住み慣れた村を離れるシーンがある。そこで彼らが乗り込むのが、コモ湖周辺で古くから使われていた伝統的な木造の漁船「バテル」。船の上にアーチがかけられており、布を被せれば日差しや雨を防ぐ簡易的な幌(ほろ)になる小さな船だ。


uau studioは、このバテルからインスピレーションを得て、コモ湖上を移動するマイクロハウスと、ソーラー発電を備えたドッキングステーションの構想を発表した。

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Photo: uau studio

可動式の屋根&全面ガラス張りで、コモ湖を独り占め

水上ハウスの名前は、『いいなづけ』主人公の娘と同じ「Lucia(ルチーア)」。まず目に留まるのは、まるで飛行船のような白い流線型の屋根だ。可動式のため、屋根を折りたたんで太陽の光を目一杯浴びながら湖面を漂うことも、屋根を広げて安心感に包まれながら眠ることもできる。

25平米というコンパクトな平屋造りで、居住スペースを最小限に抑えながら、実用性を最大限に引き出している。仕切り代わりの収納スペースを挟み、進行方向にベッドルーム、反対にダイニングルーム。ベッドルームには、プールサイドのような魅力的なスペースもあり、少し足を伸ばせばコモ湖と一体になれる。

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Photo: uau studio

エコ&インクルーシブな設計

インテリアには、バーチ材の合板や湖から回収された廃棄物など、地元のリサイクル素材が使用されている。特注の多機能家具は、さまざまなニーズに合わせてカスタマイズできるそう。加えて、一棟まるまるバリアフリー設計だ。

「移動に制約のある人も利用しやすい環境が整っており、すべての人にとって平等なアクセスと快適さを提供できます」とuau studioは述べている。

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Photo: uau studio

湖畔地域全体を活性化させる大プロジェクト

Luciaの動力源は電気のため、充電場所が必要になる。ここで登場するのが、Luciaの肝となる「ダルセナ・リンク」。コモ湖の湖岸沿いに点在するドッキングスポットが、ネットワークを形成する。各所で充電できるだけでなく、メインステーションには市場やコミュニティスペース等も併設予定だ。

「ダルセナ・リンクのスポットは、伝統的な村々を物理的・経済的に拡張するだけでなく、社会的・文化的な拠点としても機能します。(中略)ソーラーパネルステーション、セルフ充電スポット、文化市場、ウォータースポーツやその他の活動のための社交エリア、緑地などを備え、湖畔地域の活性化と新たなコミュニティの形成に貢献します」

レジデンスのターゲットは、若いノマドワーカーだそう。個人的には、短〜中期でもLuciaでの滞在を体験してみたいところだ。一部が宿泊可能になる未来に期待したい。

Rikako Takahashi

編集者/翻訳者/ライター

東京在住。大学院で翻訳論を研究後、メディア会社に勤務。フリーランス活動で複数の媒体に寄稿中。海外ニュース&エンタメ、カルチャー記事など広く担当。好きなものは旅、猫、夜。

Rikako Takahashi

編集者/翻訳者/ライター

東京在住。大学院で翻訳論を研究後、メディア会社に勤務。フリーランス活動で複数の媒体に寄稿中。海外ニュース&エンタメ、カルチャー記事など広く担当。好きなものは旅、猫、夜。