The Netherlands オランダ/アイントホーフェン

オランダ南部の都市、アイントホーフェンの中心部に、ユニークな集合住宅が完成した。特徴は、尖った傾斜屋根が作り出す山脈のようなシルエットだ。200戸以上のユニットから成る高密度プロジェクトだが、入念な設計により、これまでにない充実した居住環境が実現している。

新旧建築の融合 低から高へグラデーション
「ニィウ・ベルヘン(新しい山)」は、アイントホーフェンで最も古く、最も正統な雰囲気を残すエリアの一つ、デ・ベルゲン地区に建てられた。5棟の新築建物に2棟の歴史的建造物を組み合わせており、単身者向けから家族向け、低所得者向けから高級ペントハウスまで、237戸の多様な住居を提供している。「インディゴ」「バイオレット」「ブルー」「ルージュ」「オレンジ」「ジョーン(黄色)」「ヴェール(緑)」と名付けられた7棟の建物群は高低差のある尖った傾斜屋根を持ち、山脈を思わせる風景を作り出している。
低層の「ヴェール」と「ジョーン」は、20世紀に建設された元警察署の建物を改修したものだ。かつてこの2棟の間を埋めていた建物のファサードを再現した列柱廊(等間隔に建てられた柱の列に梁と屋根をかけた回廊)によってつながっており、街の古い記憶を留めている。
2棟の背後には、6階建ての「オレンジ」に始まり、17階建てのタワー「インディゴ」へと至る5棟の新しい建物が、徐々に高さを増しながら並んでいる。各棟の色は暗褐色から茶色、ベージュ、ライトグレー、白へとグラデーションが付けられており、高さが増すにつれて、ファサードの色も変化するユニークなデザインとなっている。

光を考慮した屋根 持続可能性にも配慮
尖った屋根のラインは採光を考慮したもので、屋根面は隣接する建物の基部から45度の角度を描いている。これにより住戸や公共スペースに明るい陽射しが差し込み、高密度な街並みに開放感と風通しの良さをもたらしている。新棟のうち3棟の屋根の頂部には、風除けとして機能するガラスパネルの手すり壁を備えた開放的な屋上テラスが広がる。一部は住民の共有スペースとして使用され、ガーデニング用のガラス張りの温室も設けられている。
5棟の1階部分には商業スペースが設けられ、飲食用のテラスとしても十分な広さが確保されている。日当たりが良く、車の乗り入れもほぼないため、小さなレストランやブティックが立ち並ぶ魅力的なデ・ベルゲン地区にふさわしい、訪問者がくつろげる空間となっている。
傾斜屋根は、太陽光パネルや緑化のためのスペースを提供する役割も果たしている。既存の建物の再利用、エネルギー効率の高い建築システムの採用を含め、持続可能性は、設計における重要な検討事項でもあったという。

街に溶け込む建物 新たな山が誕生!
設計を担当したMVRDVが目指したのは、自然な形で近隣に溶け込む個性ある建物造りだったという。傾斜屋根は、住民と通りを歩く訪問者の双方に恩恵をもたらす形でこれを実現。その結果として、控えめであると同時に、刺激的な輪郭を持つ斬新な建物群が誕生した。MVRDVの創設者パートナーであるヤコブ・ファン・ライスは、まさに既存の「デ・ベルゲン(山)」にふさわしい、「新しい山」が加わったと述べている。
このプロジェクトの完成により、持続可能性、建築としての個性、そしてコミュニティのつながりを損なうことなく、思慮深いデザインが都市中心部の高密度化を可能にすることが実証されたと言える。
参考:デザイン事務所プレスリリース

Webライター
早稲田大学第一文学部卒業。レコード会社に勤務した後に渡米し、コミュニケーション学の修士号取得。米ノースウエスト航空機内誌の編集を経て、日本航空の機内エンターテイメントの選定買付に携わる。夫の転勤で通算9年の東南アジア滞在後、帰国して世界のニュースを紹介するライターに。現在は関西の片隅で、仕事の合間にフランス語学習に奮闘中。
早稲田大学第一文学部卒業。レコード会社に勤務した後に渡米し、コミュニケーション学の修士号取得。米ノースウエスト航空機内誌の編集を経て、日本航空の機内エンターテイメントの選定買付に携わる。夫の転勤で通算9年の東南アジア滞在後、帰国して世界のニュースを紹介するライターに。現在は関西の片隅で、仕事の合間にフランス語学習に奮闘中。





