
「7月からはじまる夏向け新ディナーコースのご試食をいかがですか?監修シェフのセルジオ・ハーマンが来日しますので」
そのように「ホテル虎ノ門ヒルズ」の広報さんから「ル・プリスティン東京」でのメディア向け試食会のお誘いをいただいたときは嬉しかったですね!
ハーマン氏の調理現場を見たことがある者として、この記事をご覧いただいている皆さんにその魅力をお伝えしたいと思ったからです。
同レストランはホテル虎ノ門ヒルズの1階にあります。
・味わいが繊細で複雑。
・甘みと酸味の美しいハーモニー
・イタリアンながら和食派の人でも好きそうな、食材の風味を引き出す料理。
・食べ進めるうちに何通りにも味変する、サプライズの宝庫。
・「なんだこれ、おいしい!」を生み出す創造性。
・ファッションで例えるなら、トラッドよりデザイナーズに心が動くクリエイティブ好きな人にぴったり。
こうしたエッセンスが、かつてわたしが感じたハーマン氏の仕事の素晴らしさ。
3年前になりますが、彼が目の前で調理してくれたライブキッチンのイベントに参加したことがあります。
会場のレポートは以下の記事をご覧くださいませ。
https://www.pen-online.jp/article/013981.html (←すみません、コピペでお願いします)
このときのハーマン氏は笑顔を封印して、ド迫力で調理を続けていました。
フルスピードで働き続ける熱量、最後の仕上げまで自身で行う姿勢にいたく感動しまして。

新メニューの試食会は2026年6月26日(木)にル・プリスティン東京で行われました。
今回の料理は彼自身の手仕事ではありませんが、ベルギーのアントワープとシンガポールの彼の店でも出される料理をはじめすべてハーマン氏の監修。
それでは見ていきましょう!
三陸産ムール貝の冷製

いきなり心を持って行かれました!
最初のこの小皿に。
やさしい甘さと、ほどよい酸味。
夏の訪れを祝うかのように涼しい風が吹き抜けていきます。

食感が均一でとろけるムール貝には、中にりんごが入れられていると聞きました。
食べているときは気づかず「なんて甘い貝なのだろう」くらいに思っていましたが、そんな工夫があったとは。
オイルに沈められた白い粒はパスタの一種であるフレーゴラ。
とろとろの貝とキャビア&パスタの食感のコントラストを味わう一品です。
味付けは塩ベースでさりげない優しさ。
キャビアの存在感が強くないのがむしろ素敵でした。
ちなみに!
ムール貝はハーマン氏にとってすごく思い入れのある食材。
オランダ人の彼は実家のレストランをミシュラン三ッ星にまで高めた手腕で知られる人物ですが、その店はかつてムール貝を主軸にした店でした。
そのシェフのバックボーンに気づくと、この前菜に込められた精神が伝わってきますね。
鳥取県産スイカのタルタル

口に含んだ瞬間、
「ん、ミートソース?でも甘くてスパイシーでもあるぞ」
そんな不思議な気分に包まれたユニークな一皿。
タルタルとは生の食材を細かく刻んであえた料理を指す言葉ですが、このメニューはなんとスイカが使われてます。
スイカとドライトマトをオーブンで加熱し水分を抜いたあとにあえています。
そこにチーズを振りかけ、食べられる花で彩りをプラス。
肉は使われていません。


わたしの味覚ではトマトの印象が強かったのですが、ハーマン氏によると、
「タルタルの食感を出すためにスイカを採用。タルタルという料理の構造を通して、スイカの新たな魅力を感じてもらいたいという想いから選んだ食材」
とのこと。
食べるうちにオリーブやケッパー(塩漬けの木のつぼみ)が顔を出し、食感と共に味変していきます。
とてもシンプルながら、しっかりとレイヤー構造がある上等な味でした。

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セルジオのオレキエッテ

「セルジオを象徴するシグネチャーディッシュ」
そう称されているディナーメニューのハイライトがこちら。
耳たぶ型のミニパスタをふんだんに敷き、手長エビ、ハマグリ、イカを乗せた魚介満載の料理。
穏やかな魚介の旨味とクリームが混じり、ときおりンドゥイヤ(ペースト状サラミ)が辛味を覗かせます。

見た目よりソフトな味わい。
誰もが「おいしいね!」と笑顔になる味な気がしました。
海外のハーマン氏のレストランでも提供されているメニュー。
味付けは土地柄に合わせ変えられているようです。
シンガポールでも食べたことがあるスタッフの方の意見では、シンガポールではもっと辛味が強く、それと比べ日本は食材の良さが引き出されたマイルドな味と感じたらしく。
一方でまったく個人的な見解ですと、その万人受けする優しさが少しワクワク感に欠けた気もしつつ……。
(すみません!)
「最高に上等」より「奇妙でも面白い」ほうが好みな者のたわごとです。
ところが!
ハイライトであるこの料理に続く最後のメインディッシュに、またもや心が持って行かれることになるのです。

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国産あか牛
コースメニューが緩急をつけたバランスになっていることを思い知らされた料理「国産あか牛」。
コンパクトな分量なのに、肉と野菜の旨味をすべて凝縮させたパワフルな一皿。
「料理名短すぎるだろっ」とは思うものの w

右はローストした牛肉、左はチーズを振りかけたイタリア食材のサヤインゲン。
肉の上の白い野菜はなんと、日本のらっきょう!
フランス料理の定番ソース「ブールノワゼット」が掛けられています。
肉は必ずナイフでらっきょうが乗るように三等分して口に運びましょう。
もう、絶品の美味さ!
肉の甘み&焼きの香ばしさ、ローズマリーのハーブの香り、らっきょうの甘み&食感が混じり合う、思わず唸る料理。
肉好きな人に限る満足感かもしれませんが、コース料理のうちこれを逃すともったいない逸品です。
さらに意外性があったのが左のサラダの奥深さ。
シャキッとした青みが口いっぱいに広がり、「野菜ってこんなに美味いのか!」と子どもみたいな感想が飛び出しました。
なるほど、サラダを添え物でなく肉と同等のボリュームで横に並べた意味がよくわかりました。
肉と野菜、この黄金比の食事(栄養としても)が探求されたメニューなんですね。
すべて食べ終えたあと口に残った後味は野菜。
口がさっぱりとして、肉の脂っぽさはどこへやら。
これもメニュー開発の計算なのでしょうか!?
ピーチメルバ ‘ル・プリスティン’

「国産あか牛」の名称のメイン料理を終えたあとのデザートは、読みにくいカタカナが並ぶ「ピーチメルバ ‘ル・プリスティン’」
「メルバってなんだよ?」と思い調べたところ、「ピーチメルバ」で固有名詞で、バニラアイスにラズベリーソースを掛けたデザートのことでした。
19世紀末にイギリスで誕生したようです。
このデザートがまた最高で!

これはもう、小さなパフェです。
アイスとソースを一緒に食べればアイスデザートに。
下のスポンジにソースを絡めて食べればケーキに。
ゼリー添えもありゼリーも愉しめます。
桃とラズベリーの同じ味付けを、いろんなスイーツで味わえる贅沢な一品。
最初にスプーンですくったラズベリー(フランボワーズ)ソースの果物の酸味と風味があまりに美味くてつい、「うわっ!」と声を出してしまったら、すぐ横にいたハーマン氏がわたしの肩を叩いてニヤッと親指を立ててくれました。
外国語ができない人間が、このイベントで唯一彼と直接コミュニケートできた瞬間です w

デザート提供後に、ル・プリスティン東京のエグゼクティブシェフのデニス・カイパース(左)、ペストリー スーシェフ(パティシエ)のサシャ・シモンがやってきてご挨拶。

まさしく夏の気分にフィットする、爽やかな料理体験でした。
皆さんはいかがだったでしょうか??
これらの料理が含まれるコース「イタリアン・リージョン」は、7月1日(水)〜9月30日(水)までの提供です。
時間は18時〜22時。
5コース 16,500円、6コース 18,700円(ともに15%のサービス料が加算)のうち、今回の試食会では「高知県産トマトのエッグカスタード」「瀬戸内産太刀魚」の2品が除かれました。
このふたつは皆さんがレストランでサプライズをご期待なさってくださいませ。
なお5コースと6コースの違いは、「高知県産トマトのエッグカスタード」のありなしです。
オンラインでの予約は、以下の予約ページよりどうぞ!
https://x.gd/YpEHw

ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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