2026年は、月や星、果ては宇宙飛行に至るまで、天体や宇宙をテーマにした新作が目を引く。実際の宇宙開発計画と直接的にリンクするプロフェッショナルな計器から、夜空の神秘とロマンを手元に収めるようなポエティックな表現まで、その解釈は多彩だ。各ブランドが見つめる「宇宙」は、詩情と技術、夢と実用を行き来しながら、時計という小宇宙の中に凝縮されている。
Pen 2026年8月号の第2特集は、『キーワードで紐解く、腕時計の最新地図』。今年も「ウォッチズ&ワンダーズ」をはじめ、各ブランドから多彩な新作腕時計が発表された。新素材の開発、複雑機構の進化、薄型化や装着感の追求など、そこには時代を映すさまざまな兆しが見えてくる。腕時計はいまどこへ向かい、私たちは時間を知る道具になにを求めるのか。5つのキーワードを手がかりに、自分らしい一本を見つけてほしい。
第2特集『キーワードで紐解く、腕時計の最新地図』
(第1特集『揺さぶる写真』)
Pen 2026年8月号 ¥990
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1. IWC シャフハウゼン「パイロット・ウォッチ・ベンチュラー・バーティカル・ドライブ」

ケース素材から内部のムーブメント機構に至るまで、有人宇宙飛行を想定してゼロから設計された、“宇宙”のパイロットウォッチ。次世代宇宙ステーションを開発するVAST社による試験を経て、宇宙飛行認証を取得した。革新的な回転式ベゼルシステムがリューズに代わり、宇宙服のグローブを着用した状態でもすべての調整が可能。パイロットウォッチの名門が、その視線を宇宙へと広げた一本だ。
2. オメガ「スピードマスター ムーンウォッチ ブラック&ホワイト」

月面着陸という人類の偉業に立ち会った腕時計「ムーンウォッチ」に、精悍な逆パンダダイヤルが追加された。ブラックダイヤルにホワイトのサブダイヤルを配したコントラストは、ブラックを基調とする従来モデルとは異なる華やかな逸脱だ。視認性を高めたプロフェッショナルな計器としての矜持と、洗練された都会的なデザインが両立した本作。宇宙史を背負う名作に、新たな表情を与えた。
3. ブライトリング「ナビタイマー B02 クロノグラフ 41 コスモノート アルテミス II」

ナビタイマー B02 クロノグラフ 41 コスモノート アルテミス II/手巻き、SSケース、ケース径41㎜、パワーリザーブ約70時間、シースルーバック、アリゲーターストラップ、3気圧防水、世界限定450本。¥1,661,000/ハウス・オブ・ブランズ・ジャパン 0120-105-707
宇宙飛行士たちと深く関わってきたブライトリングならではのリアリティを宿す一本。文字盤には宇宙から飛来した本物の隕石を採用し、同じ模様がひとつもない神秘的な表情を見せる。1962年、マーキュリー・アトラス7号で宇宙へ飛んだ「コスモノート」の系譜を受け継ぎ、アルテミスIIに象徴される宇宙探査へ憧憬を重ねるロマンあふれるモデルだ。
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4. ヴァン クリーフ&アーペル「ミッドナイト ジュール ニュイ ファーズ ドゥ リュンヌ ウォッチ」

文字盤上では、24時間周期で回転するディスクが太陽と月の位置関係から昼夜の移ろいを優美に描き出し、さらにもう1枚のディスクが24時間16分27秒かけて月の満ち欠けを精緻に再現する。天空のロマンを独自の詩的なアプローチで表現する、ヴァン クリーフ&アーペルらしい至高の天体時計だ。時間を知るという行為を、宇宙の営みを静かに眺める喜びに変えてくれる。
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5. パテックフィリップ「セレスティアル Ref. 6105G」
日の出・日の入り時刻の表示機能をブランドで初めて実現した、画期的なグランドコンプリケーション。開発に5年を要した機構は、天空の動きを緻密に再現し、手首の上で宇宙の摂理を可視化する。夏時間と冬時間の切り替えも可能。天文学と時計工学の壮大な融合が、宇宙のサイクルと人間の営みを同期させる、パテック フィリップならではの哲学的な傑作である。

並木浩一
桐蔭横浜大学教授/時計ジャーナリスト
1961年、神奈川県生まれ。1990年代より、バーゼルワールドやジュネーブサロンをはじめ、国内外で時計の取材を続ける。雑誌編集長や編集委員など歴任し、2012年より桐蔭横浜大学の教授に。ギャラクシー賞選奨委員、GPHG(ジュネーブ時計グランプリ)アカデミー会員。著書に『ロレックスが買えない。』など多数。

『揺さぶる写真』
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