【まるでハチの巣】異形の木造ビル、その奇抜な外観が“最強の耐震構造”だった

  • 文:山川真智子
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CANADA カナダ/バンクーバー

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photo: MICHAEL ELKAN PHOTOGRAPHY

カナダのバンクーバーに、ハチの巣のような外観を持つビルが建設された。デザイン性を前面に打ち出したかのようなユニークなファサードがひときわ目を引くが、実は地震の多い地域にある都市ならではの、耐震性を重視した当然の帰結だった。

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photo: MICHAEL ELKAN PHOTOGRAPHY

木造建築の可能性を拡大 マスティンバーとは?

「ザ・ハイブ」は、バンクーバーの中心部からわずか1キロほどのフォルス・クリーク・フラット地区に建てられた10階建てのオフィスビルだ。現在再開発が進むこの地区の玄関口としての役割も担っている。複数の木材を組み合わせ、圧縮強度と張力強度を向上させた大体積の木質建材、マスティンバーを使用しており、現時点で北米で最も高い耐震木造建築となっている。設計デザインは、バンクーバーをはじめ、カナダ5都市とサンフランシスコにスタジオを持つ建築事務所のダイアログが担当した。

マスティンバーが発明されたのは、1900年代初頭とされるが、1990年代にCLT(直交集成板)と呼ばれる、繊維方向が直交するように積層接着した木質パネル建材の登場により、木造建築の可能性が格段に広がることになった。CLTは1995年頃からオーストリアを中心に発展し、現在では世界各国で様々な建築物に使用されている。コンクリートや鉄などの従来型建築資材に匹敵する強度がある上に、環境負荷を抑えた再生可能なリソースであることから、中高層ビルプロジェクトでの採用が増加しているという。

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Photo:Ema Peter Photography

ハニカム構造でビルを守る!耐震設計が生んだ美

従来の高層ビルは、耐震のため中心部にコンクリート製のコア(心棒)を作り、その周囲を木材や鋼材で覆う工法を採用しているものが多い。ところが、バンクーバーという地震多発地帯に位置しているにも関わらず、「ザ・ハイブ」ではこのやり方を取り入れていない。

代わりに選ばれたのが、グリッドを建物の外周に沿って走らせたハニカム構造だ。これは、建物の外側を頑丈に囲むことで、地震や強風による横からの衝撃を建物全体で分散して受け止めるというもの。従来のような巨大なコンクリートコアには依存せず、木製の外骨格と内部のCLT耐震壁を組み合わせることで耐震性を高めている。さらに、コンクリートコアがないことで、構造の軽量化もできるというメリットがある。

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Photo:Ema Peter Photography

「ザ・ハイブ」は、その名のとおりハチの巣のような構造がそのまま建物の外観デザインとなっており、木造建築が持つ美しさも手伝って一見するとデザイン的な主張の強い建物に見える。しかし、実はこのデザインこそが最も効率的な耐震ソリューションであり、その結果として、視覚的に美しくかつ力強い印象を与えるファサードが生まれたと言える。

なお、ザ・ハイブは純粋な木造ではなく、木材を主役としながらも、接合部などの要所には必要に応じて鋼材などが使われている。素材それぞれの特性を最大限に引き出す『ハイブリッド構造』によって、木造建築の限界を押し広げる先進的建築となっている。

木の持つメリットを生かす 働く人にもやさしいビル

従来の高層ビルと違って中心に大きなコアがないため、「ザ・ハイブ」では開放的で自由度の高いフロアの設計が実現している。バンクーバーの素晴らしい景色が一望できる広々とした屋上スペース、木材という自然素材に囲まれたバイオフィリックな内装、オール電化などもこの建物の魅力で、オフィスで働く人々のメンタルヘルスの向上に寄与することが期待されている。

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Photo:Ema Peter Photography

山川真智子

Webライター

早稲田大学第一文学部卒業。レコード会社に勤務した後に渡米し、コミュニケーション学の修士号取得。米ノースウエスト航空機内誌の編集を経て、日本航空の機内エンターテイメントの選定買付に携わる。夫の転勤で通算9年の東南アジア滞在後、帰国して世界のニュースを紹介するライターに。現在は関西の片隅で、仕事の合間にフランス語学習に奮闘中。

山川真智子

Webライター

早稲田大学第一文学部卒業。レコード会社に勤務した後に渡米し、コミュニケーション学の修士号取得。米ノースウエスト航空機内誌の編集を経て、日本航空の機内エンターテイメントの選定買付に携わる。夫の転勤で通算9年の東南アジア滞在後、帰国して世界のニュースを紹介するライターに。現在は関西の片隅で、仕事の合間にフランス語学習に奮闘中。