ピーティさを強調したウイスキーはいくつかあるが、長年にわたり“世界で最もピーティでスモーキー”なシングルモルトとして人々に愛されてきたのが「アードベッグ」だ。その味わいに虜になったアードベギャン(アードベッグファン)たちが集う年に一度の祝祭が、今年も開催された。
“アードベギャン”にとっての特別な一日
2026年、東京では6月12日から14日まで開催された「アードベッグ・デー 2026」。いまや世界中のアードベギャンたちにとっての“祝祭の日”となっているこのイベントは、毎年アイラ島で開催される「アイラ・フェス」を起源とするものだ。
今年で40周年を迎えたアイラ・フェスは、島の文化や歴史を発信する小さな観光イベントとして始まった。しかし、世界的にシングルモルトがブームになり始めた2000年前後からその規模は拡大。現在では音楽とウイスキーの祭典として広く知られ、フェス期間中には小さなアイラ島がウイスキーラバーたちで溢れるなど、ウイスキー業界における一大イベントとなっている。
そんなアイラ・フェスのお楽しみのひとつが、各蒸留所で開催されるオープンデーだ。中でも人気の高いアードベッグでは毎回、フェスの最終日にオープンデーを実施。この日が「アードベッグ・デー」と呼ばれるようになり、やがて、世界中のアードベギャンたちが乾杯するイベントへと発展したのだ。
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日本で愛されるアードベッグの魅力


日本でも2012年からほぼ毎年開催され、大きな盛り上がりを見せる「アードベッグ・デー」。
もともとアードベッグは日本で人気の高いシングルモルトのひとつだが、実は25年からは日本がアードベッグにとって世界最大の市場となった。アードベッグには愛好家のためのクラブ「アードベッグ コミッティー」があり、130カ国以上で18万人以上のメンバーが参加するが、そのうち約5万人が日本国内のメンバーであり、世界でダントツの人数だ。
なぜ、日本人はこれほどまでにアードベッグに魅了されるのだろうか。
「アードベッグ・デー」に合わせて来日した、アードベッグ最高蒸留・責任者のビル・ラムズデン博士に聞くと、「ウイスキーに限らずファッションや車、芸術、料理など、日本には自分の人生におけて、よりよいものを深く理解し、本当に優れたものを高く評価する人たちが多いと感じています。だからこそ、アードベッグのようなウイスキーが選ばれるのではないでしょうか」と語る。
1815年に創業したアードベッグは、1980年代には2度の閉鎖を経験している。だがそのポテンシャルを信じて1997年に蒸留所を買収し、復活させたのがグレンモーレンジィ社であり、蒸留所の再建を主導してきたのがビル博士だ。
乾燥時にふんだんにピートを炊き込んだへビリーピーテッド麦芽での仕込みや、伝統的な木桶での発酵、アイラ島では唯一となる精溜器が付いたスピリッツスチル(再留器)などがアードベッグ蒸留所の特徴。2000年に復活させた定番の「アードベッグ 10年」をはじめ、現在は豊富なラインナップを揃え、強烈なピーティさと繊細な甘さが不思議と調和する“ピーティパラドックス”で多くの飲み手を虜にする。
テーマに合わせ毎年リリースされる「アードベッグ・デー」限定ボトルでは、さまざまな樽を熟成に使ったものや、あえて精溜器を使わずに蒸留したものなど、蒸留所の進化や遊び心が垣間見える実験的なボトルもリリースされる。
「アードベッグが日本や世界の飲み手にこれだけ評価してもらえるようになったのは嬉しいこと。しかし、向上する余地は常にあり、私たちが進化を止めることはありません」と、ビル博士は言う。
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今年のテーマはドルチェ、主要4都市でも開催
麻布台ヒルズアリーナで開催された「アードベッグ・デー 2026」には、初めてビル博士も参加。「La Dolce Islay ― 人生は甘美。そして、すごくスモーキー。」をテーマに、南イタリアの風景を彷彿とさせる開放感あふれる会場で、多くのアードべギャンたちと乾杯を交わした。
ビル博士と並ぶイベントの主役は、もちろんアードベッグ・デー限定ボトル。今年の限定ボトル「アードベッグ ドルチェ」は、シチリア島の甘口酒精強化ワイン「マルサラ」のなかでも特に甘口のドルチェ樽で熟成した原酒と、バーボン樽で熟成した原酒を使った一本。シチリアワインの甘美な香味と骨太なピーティさが絡み合う、ドラマティックでチャーミングな味わいのアードベッグだ。
会場ではそんな「アードベッグ ドルチェ」の試飲やゲストバーテンダーによる「アードベッグ ドルチェ」を使ったオリジナルカクテルの提供も。さらにはシチリア音楽とアイラ島のケルト音楽を融合したスペシャルライブも実施され、ゲストが輪になって踊り出すなど、アードベギャンの一体感と熱気に満ちたイベントとなった。
「日本の人たちと一緒に盛り上がることができたアードベッグ・デーは最高でした。タイムマシンを使って時間を戻すことができるなら、もっと多くの人たちと語り合ったり写真を撮ったりもしたかったですし、なによりももっと一緒に踊る時間がほしかったですね(笑)」
ビル博士がそう振り返る「アードベッグ・デー 2026」は、大いに盛り上がった東京を皮切りに、仙台、名古屋、大阪、福岡の4都市でも「ミニ・アードベッグ・デー」として開催。残すは7月11日(土)の福岡のみだが、早々にチケットが完売するほどの盛況ぶりだ。
甘美でスモーキー。今年も世界中のアードベギャンを熱狂させたアードベッグは、来年はどのような世界を見せてくれるのだろうか。いまから心待ちにしたい。

