【ポール・スミスが空間を演出】ピカソの名作約80点が新鮮によみがえる展覧会が開催|国立新美術館

  • 文:久保寺潤子
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ピカソ没後50周年を記念し、パリ国立ピカソ美術館で2023年に開催された特別展『Picasso Celebration: The Collection in a New Light!』をもとにした国際巡回展が国立新美術館(東京・六本木)で開催中だ。会場のレイアウトを手掛けたのはデザイナー、ポール・スミス。ピカソの名作を新たな視点で鑑賞できる、驚きと発見に満ちた展覧会だ。

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豊かな色彩感覚と伝統的クラフツマンシップに、独自のモダンな解釈を加えたスタイルで知られるポール・スミス。2023年にパリでアートディレクションを手がけたピカソ回顧展では、20万人以上の来場者を記録した。『ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ』国立新美術館 2026年 展示風景 撮影:小野正博(fort)

アイデアの源は、子どものような好奇心

「私がピカソから学んだのは子どものような好奇心です。彼はいつも新しいアイデアを追求していて、クラシックなドローイングからコラージュ、セラミックまであらゆる手法に挑戦しました。私自身はファッション業界に入って55年が経ちますが、目の前のものを見るだけでなく、右や左に視線を向けながらいつもアイデアを見つけています」。展覧会開催を前に、世界的なファッションデザイナーはこう語った。会場を構成するにあたっては、20世紀を代表する偉大な芸術家に敬意を表し、アートディレクターに徹して取り組んだという。

 

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アッサンブラージュとコラージュのセクションには、優しい色づかいの壁紙を組み合わせた。「ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ」国立新美術館 2026年 展示風景 撮影:小野正博(fort)

ピカソは時代に応じて著しく作風を変えており、その様式の特徴に従って、制作時期は「青の時代」「バラ色の時代」などと名付けられている。中でもジョルジュ・ブラックとともに創始したキュビスムは、対象を複数の視点から解体して再構成し、絵画表現の新たな扉を開いた。また絵画や彫刻のみならず陶芸や舞台芸術など多様な領域で作品を手がけたピカソは、『ゲルニカ』に象徴されるように社会的、政治的メッセージを込めた作品も多く、芸術家の社会的役割を世に知らしめた。

 

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色を大胆に使った会場デザインにより、ピカソの名作が新鮮に目に飛び込んでくる。「ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ」国立新美術館 2026年 展示風景 撮影:小野正博(fort)

本展ではパリ国立ピカソ美術館蔵のピカソ作品約80点を中心に、緩やかな時系列に従って展示。カラフルでポップな、遊び心あふれる会場演出によって、ピカソを新たな視点で読み解く試みとなっている。各セクションにはテーマに沿った壁紙、天井の高低差や音を吸収する絨毯など様々な仕掛けが散りばめられており、その空間に佇んでいると、ピカソの生きた時代の息遣いが伝わってくるようだ。

 

部屋はセクションごとに区切られているが最初のセクション、トロンプ・レスプリ(精神を欺くもの)には、ピカソとポール・スミスというふたりのクリエイターの魂が響き合っていて興味深い。自転車のサドルとハンドルを組み合わせ、牛の頭部を形作った『牡牛の頭部』の横には、青年期にプロの自転車選手を目指していたポールが、いくつもの自転車のサドルを用いて壁面を演出した。

 

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若い頃、熱心なサイクリストだったポール。『牡牛の頭部』を展示するセクションを遊び心いっぱいに演出した。『ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ』国立新美術館 2026年 展示風景 撮影:小野正博(fort)

 

「普通の人にとっては単なる自転車のハンドルとサドルでも、ピカソにとってはそれが牛に見える。人と違う目線を持つことが大切なのです。改めてこの天才の多様性を、ご自身で見て感じ取って、楽しんでください」

『ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ』

開催期間:開催中〜2026年9月21日(月・祝)
開催場所:国立新美術館 企画展示室2E
東京都港区六本木7-22-2
開館時間:10時〜18時 ※金、土は〜20時
休館日:火
※8/11(火・祝)は開館、8/12(水)は休館
https://art.nikkei.com/picasso_ps26/