【クルマを“空間”として再定義する】レクサスLSコンセプトが描く、ラグジュアリースペースの未来〈ミラノデザインウィーク2026レポート〉

  • 文:高橋美礼
Share:
新フラグシップモデル「レクサスLSコンセプト」を軸に展開されたインスタレーション『SPACE』。レクサスデザイン部部長の須賀厚一は「“人中心の移動”とラグジュアリースペースの可能性を突き詰めて生み出されたクルマが『LSコンセプト』です。 ブランドを象徴するそのクルマを、展示全体に通底するテーマとして据えました」と話す。360°スクリーンに映し出される映像が鑑賞者を包み込み、光や音、霧の演出とともに未来の空間体験を演出する。

20年以上にわたり、ミラノデザインウィークでブランドビジョンを発信してきたレクサス。
今年は新フラグシップモデル「レクサスLSコンセプト」を主軸に、移動手段を超えた
“豊かに過ごすための空間”として、モビリティの新たな可能性を提示した。

未来の車内空間と移動のあり方を提示

レクサスが初めてミラノデザインウィークに出展したのは2005年。自動車ブランドによる展示が珍しかった当時から、妹島和世や吉岡徳仁らのクリエイターと協働し、インスタレーションを通してブランド哲学を発信してきた。

そんなレクサスが今年打ち出したのは、自動車ブランドとして純粋なアプローチだった。背景にあるのは、レクサスが掲げるビジョン「DISCOVER」と、その思想を体現し、新たなモビリティの姿を探求した「LSコンセプト」だ。

これまでの展示では、クルマを抽象化・再解釈した表現を通してブランド哲学を描いてきた。だが今回はクルマそのものを軸に据え、未来の車内空間と移動のあり方をよりダイレクトに提示した。

「『ブランドとその未来はクルマがつくる』という考えから、直球で勝負しようと考えました」と、レクサスの須賀厚一は語る。

---fadeinPager---

ミラノで唯一無二の存在感を放つ

MDW20262_Main_Stills_16x9_01.jpg

6輪を備えて充実した室内空間を持つLSコンセプトは、移動のための単なる道具ではなく、時間を豊かに過ごすためのラグジュアリースペースとして構想された。

会場中央の展示『SPACE』では、LSコンセプトを取り巻く360°スクリーンに投影された映像が車体にも映り込み、空間とクルマ、そして鑑賞者が溶け合うような没入空間を創出した。さらに、クリエイターとの共創プロジェクト「Discover Together」も展開し、4組のクリエイターがLSコンセプトを題材に、“今までにない、自分だけのプライベート空間”を提案。心を満たす空間を「発見」する試みは、ミラノで唯一無二の存在感を放っていた。

レクサス ミラノデザインウィーク

---fadeinPager---

クリエイターたちとの共創プロジェクト

レクサス

2025年のミラノデザインウィークで始動した、レクサスとクリエイターによる共創プロジェクト「Discover Together」。今年のテーマ「Discover Your Space」では、LSコンセプトの後席空間と同じ寸法のスペースに、各制作者が考える“新たな自分だけの空間”を表現した。鑑賞者が実際に内部へ入り、それぞれの空間体験を味わえる展示として関心を集めていた。 

時間の移ろいを凝縮した小宇宙

MDW2026_Main_Stills_16x9_02.jpg
林響太朗・黒谷優美『VISIBLE INVISIBLE/みえるもの みえないこと』

映像作家の林響太朗とアートディレクターの黒谷優美によるクリエイティブデュオの作品『VISIBLE INVISIBLE/みえるもの みえないこと』。小さく開けられたにじり口をくぐると、光や音によって季節や時間の移ろいを感じさせる茶室に見立てた空間が広がる。内部には庭園を思わせる映像が投影され、限られたスペースを超えた小宇宙のような奥行きを生み出す。「目に見えない感情の動きを大切にする」という、ふたりが解釈する日本独自の感性を、静かな光の変化とともに表現した。

衣服を通し、身体を空間へと拡張する

MDW2026_Main_Stills_16x9_03.jpg
Guardini Ciuffreda Studio『WEARABLE SPACE』

イタリアを拠点にファッションデザイナーや建築家らによって結成された、Guardini Ciuffreda Studioによる『WEARABLE SPACE』。光ファイバーを織り込んだコートは、着用者の動きに呼応してやわらかな光を放ち、鏡張りの空間に反射しながら溶け込んでいく。「身体は空間を受動的に受け入れるのではなく、自ら主体的に空間を生み出す存在である」という考えのもと、衣服を介して人とその所作が空間そのものに拡張していくような感覚を味わえる。

---fadeinPager---

自らと向き合う、穏やかな瞑想空間 

MDW2026_Main_Stills_16x9_04.jpg
Random Studio『A Moving Sanctuary』

アムステルダムとパリを拠点に空間デザインを手掛けるRandom Studioによる『A Moving Sanctuary』。白い繭のように包み込む空間に身を横たえると、熱感知システムが呼吸を読み取り、光と音がゆっくりと呼応する。LSコンセプトの空間体験をイメージソースに、「クルマは移動のためだけでなく、静寂と自分を見つめ直す場所でもある」というメッセージを表現した。サンクチュアリというタイトルが表すように、深い呼吸を促すような、穏やかな没入感に包まれていた。

職人技が生み出す、ラグジュアリースペース

MDW2026_Main_Stills_16x9_05_A.jpg
高畠元・田村ゆり(レクサスインハウスデザイナー)、山下真五(レクサスインハウス木型職人)、黒田裕次(指勘建具工芸)、稲垣遼太(稲垣石材店)、中田一浩(天童木工)『The Crafted Cosmos』

レクサスインハウスデザイナーの高畠元、田村ゆり、レクサスインハウス木型職人の山下真五、黒田裕次(指勘建具工芸)、稲垣遼太(稲垣石材店)、中田一浩(天童木工)らによる『The Crafted Cosmos』。精緻な組子細工や豊かな質感を持つ石材、優美な曲線を描く曲木など、日本の伝統技術を総合して、現代的でラグジュアリーな空間表現へと昇華した。異なる素材や技術が静かに呼応し合い、日本のクラフツマンシップが築き上げてきた繊細な美意識を提示した。

レクサスデザイン部 部長

須賀厚一

●レクサスデザイン部 部長

1988年にトヨタ自動車へ入社し、エクステリアデザインを担当。2008年、iQでグッドデザイン大賞を受賞。10年からレクサスデザイン部へ加わり、LSのチーフデザイナーなどを歴任。18年から現職。

 

レクサスインフォメーションデスク TEL:0800-500-5577(9:00~17:00 ※年中無休)
https://lexus.jp